内視鏡検査中に大腸ポリープの検出を支援するAIが医薬品医療機器等法に基づくクラスII・管理医療機器として承認を取得

課題

CTスキャンやMRIなどの医用画像による診断は経験のある医師が集中して分析することで得られます。しかし、一人の医師が検査できる数も限られ、集中力が続かないことによる見逃しもありうるでしょう。

同様の事態は、内視鏡による大腸検査でも起こり、適切な支援方法は課題になっています。大腸癌は、日本人女性の癌死亡率1位、男性で3位となっている癌で、大腸内視鏡により早期の癌病変を発見し、切除することで脂肪を大幅に減らせることが知られています。しかし、検査1回あたり腫瘍性ポリープの22%が見落とされている可能性が指摘されています。内視鏡の画面上に現れなかったケースもありますが、実際には現れているのに見落とされてしまうケースもありました。

解決方法

サイバネットシステム株式会社と昭和大学横浜市北部病院消化器センターの工藤進英教授、名古屋大学大学院情報学研究科の森健策教授らのグループが、大腸内視鏡診断におけるポリープなどの病変の検出を深層学習技術により支援するソフトウェア「EndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)」を開発しました。

「EndoBRAIN-EYE」は、ハイビジョン画質により大腸内視鏡で撮影された画像からポリープなどを検出すると画面上に表示する色や音で警告を発して、医師の病変の発見を助けることができます。ただし、あえて検出した病変位置を医師には教示せずに医師の自発的な発見を促す形にしています。これは、あくまで医師の診断であることを明確にする工夫になっているようです。

このシステムの深層学習モデルの訓練は、国内5施設から集積した動画から抽出された約395万枚の内視鏡画像を用いています。

臨床性能試験では感度95%、特異度89%※6の精度で病変の検出が可能で、内視鏡医の支援に足る十分な精度を達成しています。なお、本品は市販後に自律的な学習による性能向上はしませんが、学習画像数の増加やアルゴリズムの改良で性能向上が期待できる場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請し、承認取得後、適宜バージョンアップを行う方針です。

どうなったか

深層学習の訓練の結果、臨床性能試験では感度95%、特異度89%の精度で病変の検出が可能となりました。これは、内視鏡医の支援に足る十分な性能です。

この製品は、市販後に自律的に学習して性能向上することはしませんが、グループが収集した学習画像数が増加したりアルゴリズムが改良され、性能向上が期待できる場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請し、承認取得後、バージョンアップする方針です。

このシステムは、2020年1月24日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づく、クラスII・管理医療機器として承認を取得しました。

まとめ

医師の診察を担保するために、あえて検出部位を表示しないシステムにするアイディアは興味深いです。AIの判断に頼りきらないシステムとすることは、現在の法律的な枠組みとしての責任の所在をはっきりさせるためには必要な措置ですが、できることをあえてしないという方針は他の分野でも活用できそうです。

参考資料

(森裕紀)