人工知能で灌水制御してトマトの高糖度化を実現:静岡大学峰野研究室とHappy Qualityが共同栽培実験で実証

課題

農業における灌水(水やり)の管理は大きな課題になっています。量を多くしても根腐れの原因になりますし、少なすぎると枯れてしまいます。特にトマトにおいては、水の量をギリギリまで減らしてストレスを与えると糖度があがり、甘いトマトが収穫できることが知られていますが、さらに水を与えないと枯れてしまうため、熟練農家による天候の変化に応じたきめ細かい調整が必要でした。

解決方法

静岡大学情報学部峰野研究室では、2017年度には植物の水分ストレスがしおれ具合から判別できると仮定して、低解像度の画像と温度、湿度、明るさという収集の易しいデータから、植物の茎径(茎の太さ)を高精度に予測するシステムを開発していました。2018年度に株式会社Happy Quality と共同栽培実験を行い、急な天候の変化にも追従できる予測システムの判断に基づいて灌水制御を行うことで高糖度トマトの栽培に成功しました。

栽培されたトマトは中玉(一玉50g程度に品種改良された品種)と呼ばれる大きさで、2019年度の実験により平均糖度9.49、ばらつきを抑えて容易に栽培できると実証しました。また、従来の日照に比例した手法と比較して果実の裂果を減らし、高糖度トマトを高い確率で販売可能(95%)とするなどの成果を上げました。

https://www.shizuoka.ac.jp/news/detail.html?CN=6180
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どうなったか

今後は、静岡大学発ベンチャーとして起業したアグリエア株式会社などとの連携して、農家のノウハウ継承や農業AIに取り組むとしています。

まとめ

人工知能による農業の高効率化・高収益化は日本の農業にとって喫緊の課題です。農家の高齢化や後継者不足による人材の減少は農業経営にとって致命的で、(海外からの労働者の安易な受け入れには問題が大きく)テクノロジーの関与なしには解決できないでしょう。

今回紹介した技術では、糖度の向上だけでなく、収率の向上も実現していました。Marvinでは農業ロボット・AIに取り組むケンブリッジ大学の飯田文也准教授にインタビューし、農地から家庭まで、農業のサプライチェーンの全てでロボットや人工知能が必要になってくる将来を議論しました。今後は、栽培から収穫、配送まで様々な面で技術革新が必要になってくるでしょう。

(森裕紀)