AI音声自動応答システムがコールセンターの営業時間外受付を実現

課題
小売業を展開している店舗では、顧客対応の窓口を儲けているところが多いですが、繁忙期には営業時間内に電話が集中してしまい、受付ができないという問題が発生します。ヤマダ電機はこれを解決する、Hmcomm株式会社のAI音声自動応答システム「Terry」を導入しました。
解決方法
ヤマダ電機は家電製品の電話による修理受け付けは営業時間内にのみ行っていました。ですが真夏にはエアコンの修理依頼などが集中してしまい、時間内だけでは電話が繋がらず、受付が捌ききれないことから、顧客から要望のあった夜間対応を検討しました。
すでに様々な企業がWebサイトではテキストベースのチャットボットによる365日24時間サポートを実現させて行っています。もし、音声チャットボットを使うことで電話でも対応可能にすれば、この問題を解決できるようになります。
国立研究開発法人産業技術総合研究所発のベンチャー企業であるHmcomm社の「Terry」は、音声認識と音声合成、そして自然言語処理のエンジンを持ち、電話相手の質問や要望に自動で応答できるようになっています。同様のものは2018年5月のGoogle I/Oにてデモが行われています。美容院の予約を入れるAI音声チャットボットの精度に、ネットで配信された動画を観て驚いた人も多いでしょう。
これまで音声合成に難のあった日本語ですが、「Terry」はそれを解決し、自然な音声になっています。

どうなったか
「Terry」を導入したことで、コールセンターの営業外受付ができるようになりました。これによってコールセンター業務自体の効率化や、ひいては人件費抑制などにも繋がると考えられています。
将来的にはこのシステムを営業時間内にも適用していくことで、顧客の利便性を上げると同時に、修理担当者への情報連携をスムーズに行えるようになるでしょう。
同様の仕組みはヤマダ電機以外でも応用できそうです。先ほどGoogle I/Oでのデモを紹介しましたが、例えば料理人が一人で切り盛りしている飲食店などでは、予約の電話をこのシステムを使って自動対応できれば便利そうです。
またIBMのWatsonを導入しているみずほ銀行では、コールセンターで働くオペレーターをサポートするシステムを構築していますが、ここも業務自体を「Terry」が担えるようになるでしょう。
まとめ
人手不足が進んでいる今の日本では、AIができる事はAIに任せてしまうという方向に進んでいくでしょう。特に音声認識、音声合成が十分なクオリティに達すれば、コールセンター業務はAIによる音声チャットボット化が進んでいくと考えられます。
参考資料
- Hmcomm、ヤマダ電機における夜間修理受付業務の自動化にAI音声自動応答システム「Terry」の導入が決定[PR TIMES]
- 自然な会話で店に予約電話 グーグルが会話AI発表
- IBM Watson みずほ銀行コールセンター業務の革新