AIが家族の通勤・通学先を考慮して最適な住まいを提案「BEST BASHO(ベスト場所)」

課題

ライフスタイルの変化に合わせて引っ越しを考える人は多いです。しかし、夫婦の出勤先や子供の学校・大学の場所が家族でバラバラである場合、転居先を悩んでしまう方も多いでしょう。地図や路線図を見ながら家族で住みたい地域を探しても、その地域に理想の間取りや金額の住まいがあるとは限らず、転居先の決定に多くの時間や手間がかかってしまうことも少なくありません。

解決方法

2019年度の人工知能学会全国大会において、株式会社GA technologiesが開発した「BEST BASHO(ベスト場所)」に関する論文が優秀賞を獲得しました。この研究では、地点と地点の移動時間を計算したり、電車やバスの交通網のネットワークを複雑ネットワーク理論の手法で解析したりして、数値化と分類をする研究です。この成果に基づく「BEST BASHO」は家族にとって最適な住まいを提案するシステムです。

「BEST BASHO」を開発するために、この研究の著者であるAI Strategy Centerのアーロン・ブラムソン氏が率いる研究チームが来日し、日本の地域における電車・バス・車などの交通利便性をスコアリングしました。さらに類似する地域の分類も行い、より適切な居住エリアを提案できるようになりました。

家族が複数人いると住まい探しに悩んでしまいますが、「BEST BASHO」を利用すると、複数人の通勤・通学先の場所や移動時間を考慮してAIが住まいの候補を導き出します。詳しくは、「BEST BASHO」がユーザー家族にとって最適な地域を地図上でカラー表示します。そして、ユーザーが理想の間取りや価格を設定すると、その地域内で家族の希望通りの物件を表示します。

「BEST BASHO」は通勤・通学先だけでなく、家族の実家や習い事の場所も考慮します。共働きの夫婦だけでなく、子だくさんの大家族や三世帯家族の住まいなど様々なライフスタイルを持った家族に「BEST BASHO」が役立ちます。

また株式会社GA technologiesは、子供が通学する学校の所在地に基づいて住まいを提案する「School District Searcher(β版)」も開発しています。

どうなったか

「BEST BASHO」を活用することで、夫婦共働きの場合でもお互いが通勤に便利な地域を選んで住まい探しを行えるため、今までのように家族の誰かが妥協しなければならない事態を回避できるかもしれません。

ユーザーは従来の住まい検索システムと同様に、住宅の築年数・広さ・価格・駅からの徒歩分数を入力し、さらに家族が通勤・通学に使用する駅を入力するだけなので簡単に検索システムを利用できます。

検索を開始すると、対象の地域を表示した地図上にお勧めのエリアが色分して示されるので、地図を見ながら家族で住みたい地域や物件を決められるようになりました。表示された物件の中から気になるものがあれば、同システムから不動産会社のスタッフに質問・問い合わせが行えるので、検索から見学までスムーズに進められます。

まとめ

住む場所の調査と物件の検索は非常に手間がかかり、通勤・通学の時間や利便性など、家族の間でも利害が対立するものです。定量的な分析に基づく地域と物件の提案があれば、話し合いでも無用な感情的対立が抑制できるかもしれません。AIで家族円満の手助けができればよいですね。

参考資料

(Marvin編集部)