画像認識により運転手の居眠りや乗客の不注意行動も検出して警告:ボッシュが自動車の車内モニタリング技術を開発

課題

運転手の居眠りやスマートホンを見るなどの脇見運転、不注意は重大事故の引き金になります。時速50kmの自動車の場合、運転手が居眠りやよそ見をしている3秒間で、車両は42メートル進んでしまいます。このような場合にも、現在の自動車では走行レーンを外れそうになった場合に警告するなどの仕組みが取り入れられています。しかし、運転手自身の状態を把握するシステムはほとんどありません。

自動運転技術の向上は運転手のミスによる事故を防止できると考えられますが、レベル3や4までの自動運転の場合、緊急時には運転手にも一定の操作が求められるため、スマホに集中することなく運転の状況のチェックは必要です。

近年の人工知能技術は顔や身体動作の解析が高精度で行えるようになりましたが、現時点では自動車の標準的な装備にはなっていません。しかし、欧州では、2022年から発売される新車には、眠気や不注意をドライバーに警告する安全装置が標準的装備される予定とされています。このため、運転手のモニタリング技術による安全性向上は喫緊の課題となっています。

解決方法

ボッシュ株式会社は、カメラと人工知能(AI)による自動車の室内モニタリングシステムを開発したと発表しました。この技術では画像処理アルゴリズムと機械学習により居眠りや脇見を検出するとしています。

眠気を検出するシステムの場合、まぶたの位置を検出し、まばたきの頻度を計測し、その値を元に運転手の疲労度を推定します。この疲労度は、実際の運転状況の記録を使って学習を行い、推定システムを構築します。また、推定された疲労度や、居眠り、脇見の検出結果に基づき、自動的に警告音を発するなどの介入が行われます。

運転手だけでなく助手席や後部座席の乗員もモニタリングします。乗員のシートベルトが外された場合にはカメラで検知され、運転手に警告します。また、後部座席の乗員が前方に乗り出しすぎたり、隣の席に脚を投げ出している場合にも適切にシートベルトやエアバッグが働くように調整を行う技術も考えられています。さらに、後部座席にベビーベットが置かれている場合には、後部のエアバッグを作動させないようにすることも可能になります。

自動車の移動中だけでなく、駐車中のモニタリングにも利用が考えられています。例えば、子供が自動車内に閉じ込められたり、不意に子供が乗り込んでしまった場合にも警告を所有者のスマホに送ることも可能になります。

どうなったか

この技術は2022年に生産段階に入ることが見込まれています。欧州委員会では、このような安全装置の導入により、2038年までに2,5000人以上の交通事故死者と14万人を超える重傷者の発生を防止できるとしています。

まとめ

自動車の技術の進歩は自動運転だけではありません。運転手が運転する前提で行える安全技術も多くあります。近年の画像認識技術は高精度な認識が実現できるため、自動車関係でも様々な応用が期待できるようになりました。

車内のモニタリングだけでも、運転手や乗員の健康状態の推定と、病的な状態であれば自動的に病院へ案内するなどの応用が考えられます。今後の技術開発の方向性に期待です。

参考資料