AIによる自動車事故の修理見積サービスがLINEトークから可能に

課題
保険会社が自動車の修理金額を見積るためには、修理工場への車の持ち込みや、保険会社の事故担当者による立会調査が必要でした。修理金額は客の保険請求判断に大きな影響を与えるため、迅速に決める必要があるものの、修理金額の提示に事故受付から1〜2週間程度かかっており、保険金の支払いまでに時間を要する一因となっていました。
解決方法
株式会社イードリーマーは、損保ジャパン日本興亜と共同で、撮影した自動車の画像をAIで解析し、リアルタイムに自動車の概算修理金額を見積する自動見積AIを開発しました。
イードリーマーは、2009年より損害保険会社のアセットリクイデーション(資産流動化)事業を開始し、サービス開始直後より、損害車両に関するデータ(画像や落札価格など)の解析をはじめ、独自でのAIによる画像認識技術を確立しました。そこで、損保ジャパン日本興亜へ、2019年1月、LINEを活用した保険金請求サービスにおける「おくるま撮影サポートサービス」の開発および導入の支援を行いました。イードリーマーが11万台を超える損害車両を査定、流通させてきた研究知見を元に、損保ジャパン日本興亜と共同で損害車両査定に特化した撮影サポート機能を開発したものです。
今回の自動見積サービスでは、画像の撮影から約 30 秒で概算修理金額を確認することができ、保険金の支払い手続きも最短 30 分程度となります。このサービスはLINEから利用することができます。
利用するためには、まず、損保ジャパン日本興亜のLINE公式アカウントを友だちに追加します。事故が起こった場合には、トークルーム内の「LINEで受付」から事故の連絡をすると、事故状況に応じて、本サービスがチャット上に自動送信されます。場合によっては事故担当者から送信することもあるようです。
そして「撮影+AI自動見積」を選択し、ガイダンスに沿って自動車を撮影します。写真撮影後、画像を送信すると自動車の概算修理金額を自動見積し、支払い対象となる保険金をチャット上で案内します。

どうなったか
イードリーマーは、継続してAIの開発を行っており、更なる精度の向上や火災保険への対応などを行います。また、InsurTech(インシュアテック)(※)カンパニーとして、保険金の請求から支払いまでの期間短縮や、業務自動化による生産性の向上へ挑戦するそうです。
まとめ
これを契機に、損害保険業界全体へテクノロジーは浸透するのでしょうか。イードリーマーによると、自動車の概算修理金額を見積するAI自動見積サービスの実用化は業界初です。事故を起こした側にとっても、すぐに修理金額を確認できるLINE チャットサービスは、トラブルや精神的なプレッシャーを緩和できる効果も期待できるでしょう。
※Insurance(保険)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせたもの。
参考資料
- 【業界初】自動車事故のAI自動修理見積サービスを開発 [PR TIMES]
- 損保ジャパン日本興亜の「LINE」を活用した「おくるま撮影サポートサービス」の開発・導入を支援しました。 [PR TIMES]
(蒲生由紀子)