モルフォがモバイルで高度な画像処理を行う”Semantic filter(仮称)”を発表:意味を考慮した領域分割手法を用いて、領域ごとに画像処理を変更

課題

スマホのカメラで気軽に撮影することは、もはや日常ですが、高品質な画像を撮影したいという要求も高まっています。レンズや撮像素子に拘った高品位カメラを用いるよりも、画像処理によって綺麗になるのであれば、それに越したことはありません。

画像処理によって画像を綺麗にする場合、風景画像や顔画像など場合によって必要なフィルタ、例えばノイズ低減フィルタや美肌フィルタ、ボケフィルタなどを使い分ける必要がありますが、手動での調整は大変ですし、複数の異なる種類の対象が混在する場合には一つのフィルタで全てに対応することはできません。スマホでもリアルタイムに、適切なフィルタがかけられた画像を見ながら撮影できれば非常に有用です。

解決方法

株式会社モルフォはスマホなどのCPUなどを手掛けるクアルコム社のイベントで、セマンティックセグメンテーションを応用した画像処理技術「Semantic Filter(仮称)」を発表しました。モルフォはこれまでモバイルデバイスで動作する画像処理ソフトウェアの開発に注力してきた会社です。

セマンティックセグメンテーションは、自動車、人間、標識、ガン細胞などの領域をピクセル単位で認識して領域分割する技術で、最近では自動運転やCTスキャンやMRI等の医用画像において病変の検出などに利用されています。今回は、この技術をクアルコム社の新しいプロセッサSnapdragonで実現し、背景、毛髪、肌、目、眉毛、服等を認識して、それぞれ異なる画像処理のフィルターを施すことで、高い品質の画像をリアルタイムに生成することに成功しました。

どうなったか

イベントの発表の中で、モルフォ社はSemantic Filterのデモを行い、リアルタイムに正確にセマンティックセグメンテーションを行いながら、領域ごとに適切なフィルターを適用し、画像が高品質化されていることを示しました。

まとめ

スマホに搭載されたレンズや撮像素子は年々高品質化されています。しかし、デジタル画像はそれだけでは様々なノイズがあるため、撮影後にノイズ低減などの必要なフィルタがかけられています。セマンティックセグメンテーションを応用した今回の技術は、そのフィルタをさらに高度化したものと言えます。

モバイル端末のプロセッサでも高速高性能な画像認識と画像処理が行えることを示した同社の技術は、その他のIoT・エッジ分野でも生かされる可能性を感じます。

参考資料