疾患の解明と新薬の開発に寄与:SOCIUMの3つのサービスと3つの技術

課題

現在、多くの医薬品が開発され、私たち人間や動物に活用されています。薬理学、生物学など医薬品の研究開発は日々進化しており、分子レベルでの疾患の研究も進んでいます。しかし、疾患発生のメカニズムの把握は難しく、新規の医薬品の開発は試行錯誤の連続で、莫大な投資費用が必要です。医薬品開発の成功率を高める情報技術の開発は長年の課題になっています。

解決方法

産総研技術移転ベンチャーであるSOCIUM(ソシウム)は、分子間の相互作用に注目し疾患のメカニズム解明と医薬品の開発に取り組んでいます。SOCIUMでは現在、「ドラッグ・リポジショニング」「ドラッグ・レスキュー」「層別化マーカー探索」の3つのサービスを提供しています。

「ドラッグ・リポジショニング」は、すでに開発されている治療薬から、別の疾患に効果のある治療薬を見つけ出すことです。SOCIUMではまず、病気から生体分子についての情報を引き出します。そしてSOCIUM独自の技術によって遺伝子情報と経路を定義し、疾患薬のネットワークと集合を生成します。次に、生体外で有効性を検証し、その後マウスを使い生体内での有効性検証を行います。最後に検証結果に基づいて薬剤候補を特定する仕組みです。

「ドラッグ・レスキュー」は開発中止となった物質を、他の疾患への新薬開発に利用することです。まず、対象となる化合物の生体情報を引き出し、先ほどの「ドラッグ・リポジショニング」とほぼ同様に有効性検証まで行います。最後に、化合物を利用できる疾患を特定します。

「層別化マーカー探索」は生体情報や臨床情報を用いて、固体を層別化するマーカーを探索することです。まず生体情報を引き出し、遺伝子情報を定義します。次に、数学的アプローチと機械学習からのモデル推定に基づいてパラメータを選択します。ネットワーク分析によって過剰適合を回避し、バイオマーカーを選択する仕組みです。

上記3つのサービスでは、「Compound Eyes」「Cyber Drug Discovery」「Drug Saver」と呼ばれる3つのSOCIUM独自の技術が使われています。

「Compound Eyes」は、遺伝子発現プロファイルデータと1132経路データを繰り返し検証する結果重視のシステムです。「Cyber Drug Discovery」は遺伝子情報と独自の薬物データベースを使用したネットワークを構築しており、独自のアルゴリズムによる強力な相関薬物のクラスタリングを行います。「Drug Saver」は過剰適合を回避するためのアルゴリズムです。

どうなったか

SOCIUMの独自技術の利用によって、すでに開発されている治療薬の別の疾患への有効成分を見つけ出し、さらに開発中止されていた物質から他の疾患へ利用できる新薬を開発できるようになりました。層別化マーカーによって効率化された臨床試験も行えるようになります。

まとめ

創薬への情報技術の応用は、深層学習だけでなく、さまざまなレベルの大規模データ解析の発達に支えられています。世界的に大手の薬品メーカーが研究開発を進めていますが、まだまだ目立った成果には結びついていません。SOCIUMの分子レベルでの創薬は、疾患の解明と新薬の開発に役立つかどうか、今後に期待です。

参考資料

(Marvin編集部)