様々なフォーマットのビジネス文書を正確に読み取ってシステムへ自動入力、AI-OCRシステム「Flax Scanner」:シナモンがNTTデータと共同で地方銀行での活用向けに実証実験

課題

地方銀行では、展開する地域の人口や企業数の減少に伴い、競争が激化しています。また、金融緩和政策の長期化により、銀行の収益性を示す預貸金利ざやは縮小しつつあります。

こうした状況を受けて、多くの地方銀行は厳しい経営状況に陥っており、収益性を改善するためには、従来の紙ベースの業務効率化も重要な課題として挙げられます。

解決策

こうした、地方銀行をはじめとする金融機関など、ホワイトカラー全体の業務効率の改善にAI(人工知能)を活用しているのが、株式会社シナモンです。

同社は独自のAI-OCR(文章読み取りエンジン)の「Flax Scanner(フラックス・スキャナー)」の開発・提供を行っており、先日は株式会社NTTデータと共同で、地方銀行向けのAI-OCRの実証実験を行いました。

Flax Scannerでは、様々な種類のビジネス文書をAI(人工知能)が理解し、書かれている内容を文字として認識して、自動でデータベースへ入力します。日常で使用されるビジネス文書の多くは非構造的であり、そのため業務システムに取り込むには人手による入力作業が必要になり、このため業務負担が増えるという課題があります。

同システムでは、様々なフォーマットの文章からの文字読み取りが可能で、手書き文字であれば実データで95~98%、研究データでは99.2%と高い認識精度を実現しています。また、対象となる文章はWordファイル、PDF、手書き・印字などの様々な文章にも対応しています。

一方のNTTデータは、かねてから金融機関向けに様々なITサービスを提供しており、銀行経営や、競争優位性を保つための先進機能、顧客ニーズへの迅速な対応や、コスト削減などを可能にするソリューションを提供しています。

今回、両社が行ったAI-OCRの実証実験では、口座振替依頼書や為替私製伝票、請求書など、地方銀行で使用される様々な非定型の文章にチューニングを行い、より多くの地方銀行で活用できることを目的にしています。

どうなったか

シナモンによると、今後はFlax Scannerの地方銀行向けのソリューションだけでなく、様々な業界の業務に特化した製品ラインナップの拡充に努めるとのことです。同社は現在、特化型音声認識技術「Rossa Voice(ロッサ・ボイス)」を既にプレローンチしており、実証実験を始めています。

また今後は、同社が掲げる「ホワイトカラーの生産性向上」をテーマに、多様な業務改善を実現する様々なプロダクト開発に取り組むとしています。

まとめ

手書き文字は同じ文字でも人によって癖のある書き方となりますが、現在の画像認識技術の進歩は高精度な認識を可能としました。手書き文字の認識は、古くは1980年代から郵便番号の認識で活躍していましたが、現在では現代の手書き文字だけでなく古代から江戸時代までのくずし字の認識も可能となっています。こうした技術は様々な文書をシステムに取り込む際などに活用可能で、従来の人力によるデータ入力にかかっていた業務負担を大幅に削減します。

IT革命が唱えられて20年以上経ちますが、全ての仕事の電子化は伝統的な企業ほど進んでいません。手書きや紙ベースでの業務と電子化された業務の橋渡しが全体効率のボトルネックとなっているのが現状です。Flax ScannerのようなAI-OCRシステムは、様々なフォーマットの文章や、手書き文字の読み取りにも対応するなど実用性も重視しています。従来の紙ベースの業務とIT機器を結び、さらに高度な分析や最適化への活用が期待されます。

参考資料

(Marvin編集部)