BERTにより転移学習アルゴリズムを刷新したAIチャットボット:「KARAKURI chatbot」をバージョンアップ

課題
働き方改革関連法が施行され業務効率化は日本社会全体の課題となっています。とりわけ、カスタマーサポートなどの分野での効率化を実現するため、24時間自動応答可能なAIチャットボットの導入が各業界で進んでおり、本サイトでもたびたび紹介しています。今後もますます需要が高まることが予測される一方で、①業務設計で難航する ②運用が軌道に乗らない ③期待していた成果が出ないなどの問題があり、継続利用が難しい現状があるといわれています。
解決方法
カラクリ株式会社は、2019年10月9日よりカスタマーサポート特化型AI「KARAKURI chatbot」の転移学習(※)アルゴリズムを刷新し、運用コストを大幅に削減できる最新バージョンの提供を開始すると発表しました。
KARAKURIは、もともと東京大学院人工知能研究チームが開発した「カスタマーサポートに特化した深層学習アルゴリズム」を活用していました。Q&Aデータに特化したアルゴリズムのため、少ない教師データで精度を向上させることが可能です。

今回の最新バージョンでは、従来より搭載されている独自エンジンに、新しい言語処理アルゴリズムとして注目されているBERTをベースとし、AIチャットボットに特化するべく改良したモデルを実装しました。(参考:ロボットは東大に入れるか:センター試験英語の要約問題に対する BERT を用いた自動解答手法)
どうなったか
これによりFAQの予測精度が大幅に向上し、試運用では「質問・回答パターン」の学習データを作成する人力コストを50%以上削減させることに成功しました。また、「KARAKURI chatbot」は、導入から運用を通してプログラミングスキル不要、 またUI特許を取得した誰にでも扱いやすい管理画面で、AIトレーニングを効率的に行えるのが特徴です。
導入までの総合的な支援により、正答率95%(※)を保証した状態でも利用開始できます。ただし、業界や業種、FAQの数の多さや複雑度によって、保証正答率が変更となる場合があるとしています。
まとめ
KARAKURIは、KARAKURI chatbotを導入して4ヶ月後には全体の問い合わせの20%がチャットボットになった事例や、6ヶ月後には電話での問い合わせ件数が46%減少した事例があると発表しています。継続利用が難しいAIチャットボットを導入前から導入後までサポートする体制があるのも、KARAKURIが成果を出せている理由かもしれません。今後はAI技術だけでなく、サポート体制も重要視されるようになっていくでしょう。このAI技術サポートもAIチャットボットにより行われるようになると面白いかもしれませんね。
参考資料
※転移学習:いったん汎用的なタスクに関して大量の安価なデータを使ってモデルを訓練して準備しておいた後に、具体的で実用的なタスクが現れた段階で少数のデータで学習して性能を確保する方法。欲しいタスクのための訓練データの作成にコストがかかる場合に有効である。
- カラクリ、人手不足解消を目指してAIチャットボットの運用コスト50%以上を削減!アルゴリズムを刷新した「KARAKURI chatbot」の提供開始。 [PR TIMES]
- KARAKURI chatbot [公式HP]
- ロボットは東大に入れるか:センター試験英語の要約問題に対する BERT を用いた自動解答手法 [Marvin.news]
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(蒲生由紀子・森裕紀)