MI-6株式会社が株式会社リバネスと資本業務提携:マテリアルズ・インフォマティクス分野への貢献に期待

課題

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは、機械学習など情報科学技術を通じて新素材や代替素材を効率的に探索する手法です。これまでに、Marvinでも取り上げています(慶應・東大らの研究チームがスパースモデリングを活用し、世界最高水準の有機負極材料を発見)。

新しい製品の開発には新しい部品をつくるための素材の進歩が欠かせません。市場ニーズの高い素材の開発は課題ですが、一方、MIの学問分野は、これまで理論科学者、計算科学者、データ科学者の主導で、新材料や新機能の探索手法として発展してきました。開発現場にはこうした研究者・技術者の経験と勘が必要とされ、非効率が多く残っている分野です。MIはこの非効率を解消し、開発の時間とコストを大幅に削減しながら、更に革新的な素材を開発する手法として注目を集めています。

解決方法

2019年5月31日、情報科学で素材開発を効率化するMIを提供するMI-6株式会社が、科学全般に立脚した事業を手がける株式会社リバネスと資本業務提携したことを発表しました。

本提携により、MI-6の有するMI技術を活用した新素材探索手法と、ケムガレージ研究所(リバネスが株式会社サイディンとの連携により熊本大学「産業イノベーションラボラトリー」内に設置)における有機合成、分析、測定等の実験系を組み合わせたワンストップソリューションを開発・提供します。
メーカー内でリソースが不足していたり、経験が不足していたりする開発テーマであっても、すばやく探索手法を確立させ実験系へ持ち込めることから、新規ニーズや研究テーマの立ち上げ時に適したパートナーシップを構築しました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000034072.html

どうなったか

「マテリアルズ・インフォマティクスの活用推進により 新たな材料の探索と開発、実用化までを支援」をミッションとするMI-6は、数多くのMIの受託解析、コンサルティング技術の実績をもち、これからのものづくり・素材開発の新しい可能性をつくるプラットフォームを目指せるという期待が寄せられています。

リバネスの代表者は「複数分野の研究者の力を集結したMI-6は、設立2年弱にして非常に充実した研究チームを抱え、我が国の素材開発を牽引できる会社になれるポテンシャルを有していると思います」と述べています。MI-6は、分子の自動設計アルゴリズムや組成最適化手法など、MIの解析技術を独自開発しています。リバネスによると、たとえば海ごみ削減のために素材から見直しを図るといったニーズへの対応なども一緒に進めたいと考えているようです。

まとめ

先日の10月2日に行われた、アーリーステージの優れたAIスタートアップ企業を表彰するコンテスト「HONGO AI」でMI-6株式会社はHONGO AI BEST AWARDを受賞しました。世界の最先端に挑む技術力と豊富なプロジェクト経験によって材料開発の現場におけるMIの推進を実現する姿勢が評価されての受賞なので、これからMI分野をどう牽引していくのか、楽しみです。

参考資料

(蒲生由紀子)