企業や部署のニーズに合ったニュースをAIが自動配信する「Anews」:1,000以上の企業が導入

課題

どの業界にもトレンドが存在し、競合他社や業界の動向をリアルタイムで把握することが、新たなビジネスチャンスやリスクをいち早く察知するきっかけになります。

このため、多くの企業では重要度の高いニュースを専任のスタッフが収集して、社内で共有するなどしていますが、その為には人的リソースや時間が必要になります。また、社員によって共有した情報の浸透度にバラつきが出たり、拡散に時間がかかることもあります。

解決方法

東京大学発のAI(人工知能)ベンチャーStockMark Inc.は、法人向けニュース配信サービス「Anews(エーニュース)」を提供しています。同サービスでは個々の企業・部署にとって重要なニュースを、設定したキーワードに基づいてAI(人工知能)が自動で収集・配信します。

Anewsは日本語圏・英語圏のニュースから約30万件を日々収集しており、この中からユーザーの興味関心に基づいたニュースのみをAI(人工知能)が選別して配信します。従来、人力では辿り着くことが難しかったニッチな情報にもリーチ可能とのことで、サービスを使うほどにAI(人工知能)がユーザーの関心やニーズを深く理解するとしています。

収集したニュース記事はディープラーニングを用いた自動要約機能によって、ポイントを3つに分けて提示します。文書の自動要約は、Marvinでも紹介したように近年精度の高い手法が提案されています。

また、英語のニュース記事向けには自動翻訳機能を備えている他、配信されたニュース記事に「いいね」をつけたり、コメントなどのリアクションを部署内で共有することが可能です。

どうなったか

2016年にスタートしたAnewsは既に1,000以上の企業・団体が導入しており、経済産業省や帝人株式会社、リクルートキャリア、セブン銀行、博報堂などが活用しています。同サービスは無料トライアルも利用可能で、公式サイトから申し込めます。

それぞれの企業・部署にとって重要なニュースをAI(人工知能)が自動配信するため、従来の人手による情報のキュレーションにかかっていた時間や手間が省けます。また、ニュース記事へのリアクション機能によって、部署内のコミュニケーション促進が見込まれる他、個々の社員の情報定着度も向上しそうです。加えて、ニュース記事の要約機能によって記事全文を読む手間が省けるので、情報収集の効率性も上がりそうです。

まとめ

ニュース配信にもAI(人工知能)は浸透しており、SNSの一次情報をベースに人力よりも素早く速報配信する「News Digest」や、経済ニュースなどをAI(人工知能)が解析し、特定の情報がどの企業にどういった影響を与えるかを分析・提示する「xenoBrain」などが登場しています。

業界の最新動向やトレンドを知ることはビジネスパーソンにとって重要ですが、ニュースサイトやSNSに溢れる情報から重要なものだけを選ぶのは難しく、常に最新動向にキャッチアップし続けるのは簡単ではありません。この後はさらにパーソナライズされたニュース配信が一般化され先鋭化するのか、それとも社会の動向を知るためのパーソナライズとは異なるタイプのニュース配信アルゴリズムが開発されるのか。今後の動向はメディア関係者も要注目かもしれません。

参考資料

(Marvin編集部)