AIの画像診断技術により水質状態を監視:水質監視システム「Deep Inspection Liquid」

課題

水処理施設では一定の水準に達した水を提供するため、定期的な水質の監視は欠かせません。施設での水質監視は、化学的な方法などによる機械計測だけでなく、人手による目視や嗅覚を利用した検査が現在でも行われます。例えば、異常な泡は洗剤や放線菌によるものが多く、放置すればトラブルの原因となるので早急な対処が必要です。

そのため、水処理施設では泡の程度や臭気、ゴミの程度、波の動きなどを作業員が24時間体制で監視する体制を取っていますが、人材の確保やシフト調整に手間をかけなければならず、管理コストもかかってしまいます。

解決方法

株式会社Ristは、カメラとAI(人工知能)で水質状態監視を行う「Deep Inspection Liquid」の現場検証を開始しました。「Deep Inspection Liquid」は画像検査技術を活用して水質の異常をリアルタイムに発見するシステムです。

「Deep Inspection Liquid」を利用すると、24時間監視によって迅速に異常を検知できるので、対策も早く行えます。「Deep Inspection Liquid」を導入するための現場に必要なものはカメラとAIサーバーのみです。調査したい水処理施設にカメラを設置し、水を撮影します。映像からディープラーニングを活用して調査対象の水質状況を学習します。

これにより水の状態を24時間監視し、水処理現場のゴミや泡、波の動き、色を撮影し、AIによって状況を判定する仕組みです。ゴミが検知されれば作業員がゴミの除去を行い、泡や水の色に異常があればただちに対策を行えます。

どうなったか

2019年6月現在「Deep Inspection Liquid」は、京セラ株式会社の野洲工場にある排水処理施設で現場検証が行われています。

これにより、定期的に水質判定が自動的に行われるので、作業員が巡回しなくても水処理施設を24時間監視できるようになりました。

従来の人材確保やシフト調整等にかかる管理コストが大幅に削減できます。また従来ではゴミや泡、波の状況など水質のチェックは人による目視が必要なため、担当する作業員によって調査結果が若干変わってしまいました。しかし、「Deep Inspection Liquid」の導入によりバラつきのない調査結果を得られるようになりました。

まとめ

株式会社Ristは、製造業や医療分野で活用できる画像検査システム「Deep Inspection」を提供しています。「Deep Inspection Liquid」は製造業・医療分野での画像診断技術の実績を基にして開発され、2019年6月に提供開始しました。

AIによる画像診断技術は、道路整備(画像認識AIによる道路整備技術:地方自治体と民間企業の取り組み)や土砂災害の予測(地形特徴による土砂災害予測:深層学習による画像認識技術を応用して潜在的危険箇所を特定)などにも活用されています。人間が行う監視業務は機械の性能が人間と同等以上である場合にはもちろんですが、例え機械の性能が多少劣っていても、疲れずに24時間体制で監視し続けるシステムのニーズは様々な分野で増えていくでしょう。応用への発想が決め手になりそうです。

参考資料

(Marvin編集部)