20万件の図面から1秒で類似検索できる「類似図面検索AIソフトウェア」を日立ソリューションズが販売開始

課題

機械や電気・電子回路設計では、現在取り組んでいる課題を効率よく解決するために既に終了したプロジェクトの設計図を流用して、新規の設計箇所を少なくすることがよく行われます。また、過去の製品で不良部品が見つかり、その改善のために必要な部品図面が未整理のデータの中に埋もれていたら、その図面を1つ1つ探すだけで膨大な時間が消費されてしまいます。

古くからの企業の場合、図面は紙の上に描かれており、デジタルスキャンによりデータ化されていたとしても画像として保存されます。この時のOCR(光学的文字認識)が不適切であれば、文字列検索のための制作日や目的などの情報が文字情報として取り出せていない場合もあります。また、たとえCADなどのソフトウェアで最初から図面がデジタル化されていたとしても、目的の用途と類似した図面を探すことになると、担当者の図面整理方法や記憶を頼りにするしかありませんでした。もし、過去の資産である膨大な図面の中から、目的にあった図面を適切に自動検索できれば、現在の課題により集中することができます。

解決方法

日立ソリューションズは2019年7月8日、「類似図面検索AIソフトウェア」の販売を開始したと発表しました。このシステムでは、これまで経験と勘に頼っていた図面探しを、高精度に自動化できるとしています。

発表資料によると、類似画像検索では、コンボリューショナルニューラルネットワーク(CNN)により抽出された画像特徴量を二種類の二進数のハッシュ値に変換し、クエリとなる画像のハッシュ値とデータベースの画像のハッシュ値を見比べて、類似性を判定しています。連続値の特徴量ベクトルの距離を計算するのではなく、(ハミング距離のような)二進数同士の距離を計算する方法により高速化を実現しているようです。

さらに、図面全体や図面の一部を選択して検索する機能により、部品などの個別検索もできるようになっています。

https://www.hitachi-solutions.co.jp/company/press/news/2019/0708.html

どうなったか

このハッシュ値による類似度の計算がどの程度正確な類似性となっているのかは発表情報からは読み取れませんが、検索速度としては、同社の試算によると約20万件の図面から1秒での検索を実現しています。

まとめ

設計図面が完全にアナログだった頃であれば、図面を整理して保管し管理を適切に行なっていても、適切な図面を探すのは経験と勘に頼る部分が多く容易ではありませんでした。これはデジタル化された現在の作業フローでも起こりがちで担当者が変わればせっかくの資産の活用が難しくなる原因でした。

今回のような図面検索システムは、製造業の現場でありがちな時間のロスを最小限とするための方法の1つと考えることができます。製造現場では過去の資産を適切に活用することが重要です。図面だけでなく文字情報としての契約書類やカジュアルな議論の内容も残しておき適宜検索できれば、効率的な開発が進められます。設計・開発支援技術はこれからも発展が見込まれ、画像認識技術だけでなく、自然言語処理技術も取り入れていくことになるでしょう。

参考資料

(森裕紀)