深層学習による印象評価でパッケージデザインを「進化」させる「パッケージデザインAI最適化サービス」

課題

新商品が開発されると、それぞれにユニークなパッケージデザインで商品化され、消費者の目を奪います。また、定番商品でも、新しいパッケージデザインでアピールする取り組みは多くの企業で行われています。

しかし、パッケージデザインにはローカルなニーズへの対応や様々な利害関係者の調整など時間のかかる工程があり、自動化は課題となっています。

解決方法

株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩)と株式会社ドコモ・インサイトマーケティング(本社:東京都港区、代表取締役社長:熊谷 宜和)は、共同で「パッケージデザインAI最適化サービス」をリリースしました。このサービスは、深層学習による画像評価に基づく遺伝的アルゴリズムによりデザインを最適化します。

プレスリリースの内容から、パッケージデザインを自動化する手法は以下のようになると考えられます。

  1. まず商品にふさわしいパッケージ制作のための「素材」や「レイアウト」を複数用意して、組み合わせによりデザインができるように準備します。例えば、商品のラベルや背景デザインなどです。
  2. この素材やレイアウトを「遺伝子」として、ランダムに組み合わせて初期のパッケージデザインとして生成します。この組み合わせは場合によって数百通りになる場合もあります。
  3. あらかじめ多くの画像データとアンケート結果から学習されたニューラルネットワークによりパッケージデザインを評価し、「生き残る」案を決定します。
  4. 十分によいパッケージ案が生成されれば、探索を終了し、不十分ならば次に進みます。
  5. 良い遺伝子を交叉させてより良い遺伝子への改良を試みたり、ランダムに突然変異を発生させて、探索を進めます。
  6.  3に戻ります。
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190725.html

どうなったか

この手法は、短時間でのパッケージデザインの開発や海外展開などでのローカライズなどに使えるとしています。名前は伏せられていますが生活雑貨メーカーでの活用を進めているということです。また、インテージ社では、このサービスのトライアルへの協力企業を募集しています。

まとめ

今回のアルゴリズムの中での人間の役割は、印象評価のためのデータ収集の対象となる一般消費者としての部分、素材の用意と最終的なデザインの決定に関わる部分になります。データ取集では十分な量の画像に対して適切な評価が与えられるのかが重要です。また、デザインの基礎となる素材やレイアウトの設計が不十分であれば、最適なデザインが生成されることはありません。最終的な、デザインの決定は、もっとも重要なプロセスでこの部分は従来の意思決定プロセスとなんら変わることはないでしょう。

生成されたパッケージ画像を印象評価するためのモデルの学習のためには十分な評価データが必要で、アンケートを含むデータ収集手法は重要な要素になります。近年では、クラウドソーシングによる画像分類のラベリングも行われていますが、例えばローカライズのためにはその地域の文化にあった印象評価が適切に行われる必要があるため、簡単ではないかもしれません。しかし、逆にこの観点でのノウハウの蓄積は先行企業としてのアドバンテージになるのかもしれません。

Marvinでは、スケッチ画像から衣服のパターンを生成する取り組みブレンドウィスキーの最適な組合せを見つける取り組みなどを紹介してきました。敵対的生成モデル(Generative Adversarial Networks: GAN)のような生成モデルを用いた手法や、膨大な潜在的な候補の中から良い組合せを見つけ出す今回の手法などを利用して、「デザイン」の省力化を進める取り組みはさらに増えていくでしょう。でも、本当は人間では発想できないデザインの発見を期待する方が楽しいかもしれませんね。

参考資料

(森裕紀)