AIが訪問リストを自動生成で成果3倍:NTTデータが信用金庫向け顧客資金ニーズ予測サービスの実証実験を完了

課題
従来多数の顧客を抱える営業担当が、どこの顧客に、どのタイミングで訪問するのかというのは各営業担当のスキルに依存した作業でした。不要な顧客への連絡や訪問は営業担当の時間や費用の無駄になるだけでなく、顧客からの信頼も下がってしまいます。
解決方法
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)と株式会社NTTデータ数理システム(以下:NTTデータ数理システム)は、信用金庫(大阪シティ信用金庫)において、AIに法人顧客の資金ニーズの予測をさせることで、効率的な訪問リストを作るという取り組みをしました。

モデルの学習には信用金庫が持っているデータを使用したとのことで、詳細については公開されていませんが、信用金庫であれば過去のお金の流れというものが把握できているので、現在の預金残高はもちろん、過去の融資の実績や周期、現金燃焼率といったものをパラメーターとして使用することは考えられそうです。
どうなったか
実際に運用し、融資実績をみてみたところ、潜在顧客に対する資金ニーズの予測精度が、従来と比較して約3倍向上することが確認されました。
今後は法人だけでなく個人の融資にも対象を広げるほか、「訪問計画策定」「対面折衝」「折衝記録作成」「案件管理」といった分野でもAIサービスを広げていく予定とのことです。
まとめ
今回のシステムでは約3倍の効果が認められるという大きな成果が得られました。営業手法を変えたわけではなく、単に既存の顧客に対していつアプローチするかというのを変えただけでこのような違いがでるというのは驚きです。
これまではそれだけの無駄なコストというのが信用金庫側が負担していただけでなく、必要のない営業に時間を使うという顧客側のコストもあったので、両者ともなくなるのは素晴らしいことです。
金融業界の取り組みでいうとみずほなどが積極的にAIを活用し発信を行なっています。帳票のAI OCRや個人顧客のライフステージに合わせた提案、ブロックチェーンを使ったキャッシュレスの取り組みなどです。
信金というとまだEメールも使えないところが当たり前で遅れているイメージのある業界です。こういった実利の大きいところから徐々に変わっていって利用者のためになることを進めていって欲しいなと思います。
参考資料
(Marvin編集部)