業界初・画像認識による自動皿会計システムなど導入:スシロー

課題
株式会社あきんどスシローが経営している大手回転すし「スシロー」は、日々多くの利用者に美味しい寿司を提供しています。
しかし、従来の店舗では利用者が席で飲食を終えた後に従業員を呼んで寿司皿を数えてもらう必要があるため、食べ終わってから会計に進むまでに時間を要していました。また、持ち帰り用の寿司を注文した時も会計で並ばなければなりませんでした。これらの待ち時間が利用者の不満のひとつでもありました。
あきんどスシローでは、2006年にも画像認識による単品認識技術にも挑戦していましたが75~80%の認識率だったため断念していました。また、その際に採用した、全ての皿にRFID(Radio Frequency IDentification:電磁波による非接触な認識技術)タグを設置する方式は効果をあげていましたが、タグの価格自体は1つあたり10円を切るなどコストが下がっているものの、全ての皿にRFIDタグを貼る手間を考えると一長一短があります。
解決方法
あきんどスシローは兵庫県伊丹市に『次世代型スシロー店舗』であるスシロー伊丹荒牧店をリニューアルオープンしました。スシロー伊丹荒牧店では業界初の画像認識による自動皿会計システムを導入しています。
新しく導入した「画像認識による自動皿会計システム」はレーン上に設置されたカメラが、利用者が手に取った寿司皿を画像認識します。そして、認識した寿司皿の数を自動でカウントする仕組みです。このシステムにより、従業員によるお皿カウントの手間が省け、利用者も飲食後に従業員が来るのを待つ必要がなくなります。
また、「キッチン内オートウェイター」も導入されました。利用者からお寿司の注文を受けた従業員が目の前のレーンに寿司皿を乗せるだけで、自動で利用者のレーンまで寿司皿が運ばれる仕組みです。従来はキッチン内の従業員が注文してくれた利用者のレーンまで移動して寿司皿を置く必要があったため、「キッチン内オートウェイター」の導入により従業員の移動時間が短縮できます。
さらに「自動土産ロッカー」を利用すると、スシローでは従来から予約したお寿司のお持ち帰りが可能です。しかし混雑時に受け取りに来た場合、利用者は会計のために長時間待たなければなりませんでした。「自動土産ロッカー」は予約しておいた商品を受け取る際に、QRコードをかざすだけで自動会計でき商品をロッカーから受け取れる仕組みです。このシステムによりお持ち帰りの利用者の待ち時間が大幅に短縮できます。
どうなったか
画像認識による自動皿会計システム他、2つの新しいシステムの導入によって、従業員の「美味しいお寿司を提供する」という業務以外の作業が大きく削減できました。そのおかげで、美味しいお寿司を利用者に提供するための調理や盛り付け作業に集中できるようになりました。
また利用者も、注文した寿司皿が席まで届く時間が短縮され、飲食後も寿司皿を数えてもらう作業を待つ必要がないため今までよりも満足度のアップが期待できます。
まとめ
スシロー伊丹荒牧店はテクノロジーを活用した3つのシステムの導入により『次世代型スシロー店舗』と呼ぶにふさわしい店舗となりました。特に「画像認識による自動皿会計システム」は業界初の新システムです。汎用の小型のカメラや認識のためのコンピュータも非常に低価格となり、FRIDは認識率は良いものの専用の機械の導入やタグの管理の手間を考えると不利になる場合もあるでしょう。今後はRFIDタグなどの技術とコストなどの面で比較し、有利なシステムが全面的に採用されていくと考えられます。
近年、飲食業においても人材不足が懸念されていますが、スシローの最新技術や設備の導入により従業員一人当たりの業務負荷が軽減されるので、従来よりも効率的に業務が行え人材不足問題も解消できるに違いありません。スシローは今後も、各店舗の人員状況に合わせて最新技術や設備を導入していく予定としています。