Photoshopの加工画像をニューラルネットワークを使って検出する技術をAdobeが開発:検出後に元に戻す方法も示唆

課題

Adobe Phtotoshopのような画像編集ツールは私たちの創造性や視覚文化へ多くの影響を与えた一方で、悪意のある編集やフェイクニュースなど画像コンテンツの信頼性が問われる事態も起きているとして、Adobeは画像加工の検出技術を研究してきました。

解決方法

アドビの研究者Richard Zhang氏とOliver Wang氏、カリフォルニア大学バークレー校のSheng-Yu Wang氏、Andrew Owens氏、Alexei A. Efros氏によって、加工された画像を検出する方法が開発されました。また、DARPA(国防高等研究計画局:アメリカの国防総省の研究資金団体)のMediForプログラムがスポンサーに就いています。

今回発表されたのは、Photoshopのツールのうちの「ゆがみ > 顔立ちを調整」(Face Aware Liquify)による加工を検出する手法です。

https://theblog.adobe.com/adobe-research-and-uc-berkeley-detecting-facial-manipulations-in-adobe-photoshop/

彼らはインターネットから得られた数千の写真にPhotoshopのFace Aware Liquify機能を適用することで、トレーニング用の画像を作成しました。深層学習の一形式である畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を訓練することによって、元画像か加工済かを識別することができます。

どうなったか

二枚のうちどちらが加工されたものか当てるテストを行った結果、人間の正答率53.5%でほぼ半分なのに対し、AIでは99%を超える正答率を示しました。訓練されたニューラルネットワークは、画像の光学的なフローの中に人間には感知できない小さなパターンを見つけ、それらの小さなパターンにより修正が行われたかを判断します。そして、オリジナル画像を見たことがなくても元画像に戻すやり方も示唆することができます。

まとめ

「加工画像を元に戻すための魔法のような「元に戻す」ボタンのアイデアはまだ現実には程遠い」とRichard氏は付け加えています。 また、今回の技術もあくまで研究として論文が発表されたのみで、実際にフォトショップに何らかの形で機能が組み込まれるかどうかも未定です。

アメリカの国防総省の資金によるスポンサーも受けていることから、軍事的な意味でも重要な課題であることがわかります。有力者の写真や動画像を入手したとしてもそれが本人なのか、フェイクなのか、あるいは加工されたものなのか疑心暗鬼な状況では意思決定は不可能です。

フェイク画像が蔓延し、情報の信用性が問われる中、画像を加工するソフトウェアを開発する企業としてこのような取り組みをすることは倫理的な責任を果たすことにつながります。他の企業にとっても見本になるでしょう。

参考資料

訂正

当初、「Photoshopの加工画像をニューラルネットワークを使って元に戻す技術をAdobeが開発」と「元に戻す」とタイトルにありましたが、若干誤解を生むタイトルであるため次のように訂正いたしました。「Photoshopの加工画像をニューラルネットワークを使って検出する技術をAdobeが開発:検出後に元に戻す方法も示唆」。よろしくお願いいたします。(責任編集者:森裕紀)

(蒲生由紀子)