画像から被写体をAIで自動的に切り出す「Grapick」が新たに動画にも対応

課題

動画の編集技術は、従来はテレビ番組や映画制作などで必要とされる技術でしたが、最近ではYouTuberや、動画を用いた広告などの普及によって、よりクオリティの高い動画の作成技術が、幅広いクリエイターに求められています。

しかし、動画編集には専門知識や複雑な作業が必要になり、代表的なものに映像から被写体のみを切り出す作業が挙げられます。従来は動画の背景を手作業でカットしていましたが、この作業には多大な労力と時間が必要でした。

解決方法

AIスタートアップ「GAUSS」、画像認識技術を用いた物体検知AI「Grapick」に動画のトリミング機能を追加

日本のAIスタートアップ企業であるGAUSSは、AIによって画像から被写体を自動的に切り出す物体検知AI「Grapick」を提供しています。これはECサイトなどで使用する画像を加工する際、背景の切り抜き作業にかかっていた手間や時間を短縮・効率化するシステムとして開発されました。

同社は2019年5月31日より、Grapickに新たな機能を追加しました。AIによる自動トリミングシステムが新たに動画にも対応し、動画内からの被写体の切り抜きを自動で行います。

デモ動画では、AIが自動的に被写体を切り抜く様子を紹介しています。映像はコマ送りの速度で再生されていますが、フレーム数を設定することにより、滑らかな動画での切り抜きも可能です。

どうなったか

画像・動画から特定の被写体を切り抜く作業は、従来は人手を介して行っていました。このプロセスをAIで自動化することで、動画素材などの作成にかかっていた時間を短縮することが出来ます。

また、従来はこうした作業はクリエイターのスキルや経験によって品質に差が出がちでしたが、AIによる自動化によって、品質の均等化やコストカットが見込まれます。

Grapickの切り抜き精度はデモサイトにて試すことができます。1100 × 731で71kバイトの人物のカラー画像で試したところ、数秒で良好な切り出し結果が得られました。同サービスでは動画像を扱いますが、このデモでは画像のみの切り取りに対応しています。また、本システムはAPIとして提供することで、既存の企業内のシステムに組み込むことも可能です。

まとめ

動画の編集作業には専門知識やスキルが必要になり、クリエイターにはストレスフルな作業が求められたり、経験によって品質に差が出ることもありました。中でも、動画から被写体を切り抜く作業は長時間の労力を伴います。こうした作業をGrapickによるAIが代替することで、作業者のスキルに関わらず品質を均等化できる他、作業プロセスの簡略化によって、時間短縮やコストカットなどのメリットが得られます。

最近の人工知能の研究動向として、セマンティックセグメンテーションと呼ばれる画像や動画から特定の意味のある対象、例えば「人物」「自動車」「木」「動物」などの領域を推定する手法が注目され精力的に研究されています。この手法の1つの分野として、人物の切り出しや「頭」「腕」「胴体」などのパーツの切り出し、それぞれの姿勢の推定などの手法が提案され、精度の改善や応用などの方向で様々な研究が行われています。例えば、Googleはリアルタイムにスマホで人物を切り出して背景を変更するシステムに関する解説を公開していますし、Adobeが提供するAdobe Senseiには、1コマ目の切り出しを手動で行えば、その後の切り出しを例え障害物があったとしても自動的に切り出すアルゴリズムが実装されています。

近年の画像認識や画像処理の高度化と高品質化は、画像や動画像を扱う敷居を下げ、さらに創造性豊かな制作活動を加速させることが期待されます。YouTuberや、複数のコンテンツを制作する動画クリエイターなどにとって、Grapickをはじめとする人工知能による画像処理ソフトウェアは、高品質なコンテンツを制作する際のハードルを下げる、画期的なツールになりそうです。

参考資料

(Marvin編集部)