マグロの品質を尾ビレの断面画像から自動判定する「TUNA SCOPE」:職人と85%の一致度でマグロの品質判定に成功

課題

水産業をはじめとする「食」に関わる産業は、人間の生存だけでなく食文化の基礎になっています。しかし、水産業のおける後継者不足は深刻で、高度な水産文化や食の安全を守れるかどうかの瀬戸際に立っています。

漁業の仕事は、漁や養殖などの魚を得る部分だけでなく、市場での販売も重要です。市場での価格決定に必要なマグロなどの品質の判定は職人の目に頼っているのが現状で、後継者不足の中、人手に頼らない客観的判定を行うシステムの開発は課題となっていました。

解決方法

電通・電通国際情報サービス(ISID)・双日の三者は、双日が開発した「TUNA SCOPE」をマルミフーズ焼津工場での検品業務において試験適用して、実証試験を行なったと発表しました。

マグロの品質は全体の解体の前に尾ビレの断面を観察することで判定されています。今回の実証実験では、この尾ビレの断面画像をスマートフォンアプリとして実装した「TUNA SCOPE」β版により認識させます。「TUNA SCOPE」は、真相学習を用いた画像認識システムで、職人から得られた4〜5段階の品質評価の結果を再現するように学習が行われています。

どうなったか

電通、電通国際情報サービス(ISID)、双日の三者は、共同で「TUNA SCOPE」を用いた実証試験を行いました。その結果、マグロの品質判定を行う職人との判定の一致が85%を超えたとしています。

また、「TUNA SCOPE」により最高ランクとされたマグロを「AIマグロ」と呼称してブランドロゴとともに『産直グルメ回転ずし 函太郎Tokyo』で5日間にわたって提供し、約1,000皿を販売しました。アンケートによると注文客の89%満足を示す回答が得られたとしています。

まとめ

Marvinでは、ISIDと双日ツナファーム、アラヤなどが共同で実施した養殖マグロの個体数認識に関する実証実験についても紹介していますが、このグループは水産業における自動化を積極的に進めているようです。また、このグループ以外でも養殖稚魚の選別長崎の漁業におけるAI活用など水産業における人手不足解消に人工知能を活用する試みを紹介していました。

水産業においては、機械化を進めて大規模化、省力化が図られてきましたが、品質管理に関してはいまだに職人の「目」に頼っているところがあるようです。このような画像解析技術はマグロ以外にも適用できるため、他の種類の魚介類でも自動化が進められていくのかもしれません。今後、自動的な品質判定の質と安定性が確保されれば、長い目で見れば市場の無人化に繋がり、人を介在させないことにより品質管理もしやすくなっていくかもしれません。省力化だけでなく、安全性に対する寄与も期待したいです。

参考資料

(森裕紀)