実在しないモデルの全身画像をAIで生成する「全身モデル自動生成AI」:広告やバナー用画像向けに開発

課題

アパレルの広告などでは、実際に衣服を着た際にどのように見えるかをイメージし易くするために、モデルを起用します。また、バナーや雑誌広告などにも人物の画像が用いられますが、こうした画像を作成するにはモデルやカメラマンを雇う必要があり、また撮影スタジオなどの環境を整えると数万円以上のコストが発生します。

解決方法

こうした広告用の画像を、数千円単位までコストダウンして作成することを目標にしているのが、京都大学発のベンチャー企業のデータグリッドです。同社はAIを用いて、実際には存在しない人物の全身画像を自動生成する「全身モデル自動生成AI」を開発しました。

同社は2018年6月に、実在しないアイドルを自動生成する「アイドル自動生成AI」を発表しましたが、これはアイドルの顔部分のみを生成可能で、表現に制約がありました。そこで、より高い表現力をAIが獲得するために、「全身生成」と「動作生成」の2つに焦点を当て、研究開発を行いました。

その結果、従来では困難だった実在しない人物の全身画像を、1024 x 1024ピクセルという高解像度での生成に成功しました。AIのデータ学習後であれば、画像生成にかかる時間は約1秒とのことです。

このシステムには、機械学習の手法の一つであるGAN(Generative Adversarial Network=敵対的生成ネットワーク)が用いられています。GANとは、コンテンツ(おもに画像)を生成するネットワークと、それを評価するネットワークとを競合させて、より高品質なアウトプットを出力する手法です。

どうなったか

この「全身モデル自動生成AI」は、おもに広告やアパレル、EC分野などで使用するモデル画像を作成する場合での利用を想定しています。

当初は広告バナーやカタログなど、大量の画像が必要になる場面での実用化を見込んでいるとのことで、今後はアパレル、広告企業との実証実験を通して、より実用時に必要になる機能を開発していくとのことです。

また、将来的には生成したモデルに動作を加えるための研究開発も行っているとのことで、今後は広告コンテンツの制作がより低コストで短時間に、かつ品質を損なわずに行えるようになりそうです。

まとめ

AIによって、実在しない人物の全身画像を自動生成できるシステムが登場しました。生成した人物の画像は極めて高精度で、一見しただけでは本物の人間との見分けがつきません。

これらの人物画像は、おもに広告や雑誌などでの使用が見込まれています。従来では、こうした媒体に掲載する画像を作成するには、人間のモデルやカメラマン、また撮影スタジオなどに依頼する必要がありましたが、その為には高いコストがかかっていました。

しかし、「全身モデル自動生成AI」では、プロが撮影したのと遜色ないレベルのモデル画像を約1秒で生成可能で、従来よりも大幅なコスト削減が可能になります。

昨今、インスタグラムなどで活動するバーチャルインフルエンサーが登場して話題ですが、こうしたバーチャルなキャラクターは、今後AI技術の進化と共に様々な分野に浸透していきそうです。

参考資料

(Marvin編集部)