契約書をAIによりチェックする「LegalForce」が正式版提供開始

課題

契約書のレビューは2段階に分類することができます。1段階目は与えられたドキュメントにおいて条項の抜け漏れがないか確認したり、差し込まれているリスク条項を発見するプロセスです。これは経験や知識に基づくものの、契約書に潜むリスクを探すという情報処理の側面が大きいものです。2段階目はリスクについて相手方と交渉をしたり修正をする判断をしていくプロセスで、こちらはソフトウェアで代替することは難しいものです。

1段階目のプロセスにおいては、人が行うとその人のそのときの状態によってクオリティが変わってしまうという問題がありました。さらに人力で契約書の各ポイントを抽出するとなると、Excelでチェックリストを作って突合作業をしたり、全てを頭の中にインプットしておく必要があります。網羅的なチェックリストを作成したり、契約書のひな形を用意しておいて見比べることにより確認漏れを防ぐ方法もありますが、その突合作業を人力で行うと膨大な時間と労力がかかってしまいます。

この抜け漏れのチェックや契約上のリスク条項の発見・修正を適切にサポートすることは、法律業務の専門家が本質的な業務に集中するために重要です。

解決方法

2019年4月2日、株式会社LegalForceは、契約業務を自然言語処理技術によりサポートするLegalForceを正式リリースしました。LegalForceは、契約条項の抜け漏れや相手方が差し込んできたリスク項目を自然言語処理技術を用いて発見する契約書レビュー支援ソフトウェアで、これまではβ版が公開されていました。

https://legalforce-cloud.com/

LegalForceには「自動レビュー機能」「条文検索機能」「類似文書比較表示機能」が搭載されています。

「自動レビュー機能」では、危険条項や必要条項の欠落をチェックリストを基づき発見することができ、ボタンを押して1秒で契約書のレビュー作業が完了します。

また、「条文検索機能」では、今まで蓄積してきた自社の契約書をデータベース化し、検索キーワード(例: 条タイトル、契約書名)を入力すると、関連する項目を条文単位で検索することができます。

さらに、「類似文書比較表示機能」では、自社の契約書データベースから過去にレビュー済みの類似の契約書を抽出したり自動抽出された類似契約書との差分を表示することも可能です。これらの機能は京都大学との共同開発による自然言語処理の文書分類の技術が使われているとしています。

どうなったか

AIによる契約書レビューソフトウェア「LegalForce」を使うことにより、下記が実現できます。
(1)レビュー品質を守りながら、契約法務をサポート
(2)社内メンバーの状況を可視化し、業務管理を効率化
(3)部門全体でレビュー方針と粒度を統一
(4)一人ひとりの経験をチームで共有
(5)最前線の弁護士の法務知見を、網羅的かつ常に最新のナレッジベースとして提供
今後も、自動認識の対応類型やひな形の拡充、多言語対応、管理面の機能強化など、さらなるサービスの充実を図っていくといいます。

まとめ

先日正式リリースされたLegalForceを紹介しました。核となる自動レビュー機能に関する技術的詳細は公開されていないようですが、過去の問題のある条文の例文を提示された契約書の中から検索するようなアルゴリズムだと考えられます。この場合、異なる表現でも一致を見抜くための工夫が必要だと考えられますが、ある程度解決されているようです。

LegalForceによると、将来的には契約書のレビューに限らず法務業務の基幹システムとして法務部や法律事務所に使ってもらいたいようです。AIを使うことに保守的に見える業界ではありますが、今後そういうことができたらさらに業務におけるAIの導入が進んでいくでしょう。

参考資料

(蒲生由紀子)