カクタス・コミュニケーションズが論文を自動でスクリーニングするAIツール「PubSURE」を発表

課題

学術ジャーナルが論文をリジェクトする割合は平均70%程度と高く、それらの論文の多くは、査読前のスクリーニングでリジェクトされる(デスク・リジェクション)そうです。デスク・リジェクションの理由の多くは、論文のスタイルや倫理規定の問題といった、研究内容には直接関係のないものが多いと言われています。価値のある研究内容がデスク・リジェクションによって発表の機会を逃してしまうのは学術界における損失です。研究者にとっても負担が大きく、デスク・リジェクションの可能性を下げることは課題となっています。

解決方法

カクタス・コミュニケーションズ株式会社は、 投稿前の論文の完成度を評価するオンラインツール「PubSURE」を2019年4月2日に開始すると発表しました。論文原稿を自動で解析・評価し、 デスクリジェクションの予防のための修正のアドバイスを生成するツールです。17年以上にわたって世界中の研究者達の学術出版をサポートしてきたカクタス・コミュニケーションズがもつ、研究への理解や文書作成プロセスを利用した最先端のAIエンジンであるとしています。

PubSUREによってチェックされる内容としては、以下のような項目が挙げられています。

  • 使用言語の文章の質のチェック(文法・スペル・構成等)
  • 既存文献からの剽窃チェック
  • Ethical Declarations(研究倫理に関する記述)の記載の有無
  • Commercial Declarations(商業的な活用についての記述)の記載の有無
  • 画像の倫理チェック
  • 著者情報記載の有無
  • 不適切な単語・フレーズのチェック
  • 図表の引用情報の有無

どうなったか

論文をアップロードするだけで、PubSURE AIによる判定のレポートを受け取ることができるようになります。論文の校正を手軽に行うことができ、著者は研究内容についての考察や議論により多くの時間を割けるようになるのではないでしょうか。

サービス開始から1ヶ月間は、無料で試すことができるようです。

まとめ

基本的なアルゴリズムはルールベースで論文の基本を抑えているかどうかをチェックするものです。

文章の質を測るためのAIの詳細なアルゴリズムは明かされていませんが、近年は文字や単語などの要素を順番にニューラルネットワークに入力して学習させるというものがあります。ある文章を途中まで入力した際に、その次の文字や単語の確率を出力させ、実際の文章がこの確率と著しく異なる場合に、文章が不自然であるとみなすものです。英語などの場合にはスペースにより単語分割ができますが、日本語などの言語では形態素解析と呼ばれる手法によって品詞に基づいた単語に分割して、それをニューラルネットワークへの入力とすることもよく行われます。

デスク・リジェクションを予防し、純粋に論文内容の質で勝負することができるようになることは、研究者にとって大きな意義があるでしょう。

参考資料

(本吉 俊之)