画像認識でリアル店舗の施策効果測定を可能に:ABEJA Insight for Retail

「ABEJA Insight for Retail」

課題

ウェブサイトの効果測定や改善にはアクセスログを使ったアクセス解析を使うのが当たり前になりました。一方リアルな店舗ではアクセスログのようなものが残るわけではないのでいつ誰が入店し、どういう人が何を買ったのか、または買わなかったのかといったデータを取得するのは困難でした。

解決方法

株式会社ABEJA(東京都港区、代表取締役社長 岡田 陽介)は、カメラの映像を使ったリアル店舗の計測ツールである「ABEJA Insight for Retail」を開発・提供しています。

図1. システム概要図(公式サイトより)

「ABEJA Insight for Retail」では、POSデータとカメラの映像を使って計測・分析を行います。ABEJAのディープラーニング技術により、映像から顔の識別、行動の追跡をすることにより次のようなことが可能になっています(一例)

  • 来店客の年齢の推定
  • 来店客の来店回数・頻度
  • 来店客の入店から退店までの動き
  • 来店客が指定エリアに入ったかどうか
  • 来店客が指定の品に手を伸ばしたかどうか

さらにこれらのデータを使ってわかりやすく管理画面でみれるようにし、店舗の運営をサポートします。

どうなったか

これまで人力で計測していたりした来店客の動きが高い精度で定量化できるようになったことで、店舗各種施策と合わせて改善のサイクルが回せるようになりました。

例えば来店客の行動を「店前通行」「入店」「棚前立寄・滞在」「手伸ばし」「購入」と分けることで、下図のようにどこに問題があり、どこに手を入れればいいか一目瞭然になります。

図2. 立寄り率が極端に低いことがわかる(公式サイトより)

また、手を入れるべきポイントがわかるだけでなく、今週は施策A、来週は施策Bといったことをした時にどちらに効果があったかということも数値でわかるようになったため、Webマーケティングで行われているA/Bテストのようなこともしやすくなりました。

個別の事例では、自動車の販売店において展示を工夫することで入店率を上げることができたメガネの販売店で商品の入れ替えの方法を変えたら滞在時間が長くなったオートバイ用品店でポップを工夫したら購買率が上がったなどがあり、データを元に改善ができるようになったことがわかります。

まとめ

ディープラーニングを使った店舗の分析サービスである「ABEJA Insight for Retail」を紹介しました。

月額数万円〜という価格設定でとても多くのことが計測できるのだと驚かされました。これだけのことがわかるとなると、従来の店舗経営は暗闇の中でやっているのと同じだなと感じさせられます。特に店舗の前の様子も撮影し、入店率も取れるようになるというのは画期的です。

人の行動が追跡できるというのは、売上アップだけでなく、スタッフの行動の無駄の検出、工場内での無駄な移動の検出、駅や商店街などの人の導線の最適化など応用が効きそうです。

参考資料

(Marvin編集部)