AIが不正送金を監視:SWIFT電文リアルタイムモニタリング共同利用サービスの実証実験開始

課題
国際送金はマネーロンダリング(資金洗浄)や反社会組織への資金提供に使われることがあるため、厳しく監視をする必要があります。しかし、金融機関も対策はするものの、その手口は高度化、複雑化していくため、一般の利用者の利便性を出来るだけ保ちつつ、安価に運用できる手段が求められています。
解決方法
株式会社JSOL(東京都中央区、代表取締役社長 前川雅俊、以下 JSOL)は、マネーロンダリングや不正送金の検知を目的として、AI(人工知能)を活用したSWIFT(国際送金システム)電文のリアルタイムモニタリングの実証実験を開始することを発表しました。
このシステムはBottomline Technologies (de), Inc.(以下 Bottomline)の製品を使ったサービスになります。
従来のアンチマネーロンダリングフィルタリングシステムでは、事前に決めた取引パターンであったり、反社リスト、制裁者リストと照合し不正を検知するようなものでしたが、AIを使うことでより精度が高くなるということです。
JSOL社から具体的なフィルタリング手法は公開されていませんが、Bottomlineのサイトによるとログイン、およびユーザー行動の監視を組み合わせて分析をしていること、機械学習や動的なユーザープロファイリングを行なっているということなので、サイト訪問者が人間かロボットか分析するGoogleの「reCAPTCHA v3」のように、事前に不正送金特有のユーザの環境情報や振る舞いを学習した機械学習モデルにより不正検知する手法が使われていると推測されます。
どうなったか
2019年2月から参加費用100万円〜で実証実験が開始されます。今回のシステムは共同利用という形でサービス提供されるので個別にシステムを導入するより安価に導入できるというメリットもあります。
まとめ
AIを使った国際送金の不正検出システムの実証実験を紹介しました。
オレオレ詐欺が多発することによってATMでの送金額や引出額が規制され不便になっていっているように、国際送金を使った不正によって、金融機関のルールが厳しくなり、普通に利用している人たちが不便になるということが起こっています。昨年末は全顧客を格付けするように金融庁が金融機関に要請するということもありました。
こういった関節的なコストが増えたり、手続きが煩雑になるなどということは善良な顧客にとっては理不尽なことなので、どんどん最新のシステムが活用されていってほしいものです。
参考資料
- 人工知能を活用したSWIFT電文リアルタイムモニタリング共同利用サービスの実証実験開始|株式会社JSOLのプレスリリース[PR TIMES]
- “一見客”の海外送金お断り 北朝鮮対策、地銀が強化[産経ニュース]
- Bottomline Secure Payments for Swift
- ボット排斥ツールの新型「reCAPTCHA v3」登場、すべてのページに導入することでユーザーの作業は一切不要にまで進化[GIGAZINE]
- 資金洗浄リスク 全顧客を格付け 海外送金で監視強化 金融庁が要請、まずメガ銀で[日本経済新聞]
(Marvin編集部)