「進学」「結婚」「居住地」「勤務地」まで推測する行動分析サービス「ジオサーチ」

株式会社アイリッジ(本社:東京都港区、代表取締役社長:小田 健太郎)は、2019年1月より、不動産広告大手の株式会社DGコミュニケーションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:鈴木 浩一)と連携して、不動産業界向けに、位置情報データによる行動解析サービス「ジオリーチ」を提供することを発表しました。

課題

新築分譲マンションのチラシ配布などの販売活動では、行政区画単位か、対象物件を中心とした同心円単位でプロモーション展開エリアを計画することが多かったのですが、これにはロスが多いという問題がありました。

本来は対象物件を購入しようとしている人だけに販売活動をすることが望ましく、そのためには「対象物件から交通の便が良い場所に勤務している人」「対象物件の近くに住んでおり、もうすぐ結婚を控えている人」などが事前に把握できないといけません。

解決方法

「ジオリーチ」では、アイリッジ社のID発行数1.2億のスマートフォン向け広告システムである「popinfo」内に保有するビッグデータと、パートナー企業(広告配信事業者等)のデータをベースに行動解析を行いました。

「ジオリーチ」は「居住地」「勤務地」「よく行く地域」「趣味嗜好性」などのデモグラフィック(人口統計学的)属性の推定だけでなく、「進学」「結婚」「住宅購入」などのライフイベント発生の推定まで可能にしています。

なお、こういったデータは氏名などの個人情報は利用せず、居住地の推定も行政市区郡レベルの情報までにするなど、個人の特定に繋がるような情報は保持していないとのことです。また、位置情報の提供は許諾を得たユーザーのみから行なっているとのことです。

どうなったか

分析により、「首都圏ターミナル駅勤務者の推定居住地」や「開発予定地半径1km圏内に居住する生活者の行動エリア」といった従来より精密な施策を可能にしました。さらに「ジオリーチ」では分析だけでなく、分析結果を施策に展開できるための別の基盤との連携も可能になっています。

まとめ

今回はスマートフォンの位置情報を利用した分析システムを紹介しました。

位置情報をもとに居住地や勤務地が推測できるのは、日中どこにいるのか、夜間どこにいるのかといったことを利用しており、将来のライフイベントについてはどんなWebサイトを見ているか、どんな広告をクリックしたかといったことから予想できるのだと考えられます。

何か特定の行動をした人に対して広告を打つようなことをイベントベースドマーケティング(EBM)などといって、近年では当たり前になってきました。例えば、引越しをするとピザ屋のチラシが投函されるとかといったものです。みずほ銀行の取り組みなどでも収益が何倍にもなったという報告があります。

今後はそれをさらに進めたビヘイビアベースドマーケティング(BBM)が広がっていくと言われています。これは普段の行動から次の行動を予測してマーケティングをするというものです。雑誌「ゼクシィ」を買ってるなら半年から1年後に結婚や引越しもするかもしれないといった具合です。

スマートフォンや各種センサなどからデータの収集と分析がしやすくなったことや、機械学習のアルゴリズムが洗練されてきたことによるものです。

こういったシステムが高度化すると将来的にはチラシが届いた時にはなぜこれが自分に届いたのかわからないが、半年後には気がつく。というような未来が来るかもしれませんね。

参考資料

位置情報データによる行動解析サービス「ジオリーチ」を不動産業界向けに提供開始|株式会社アイリッジのプレスリリース [PRTIMES] 
みずほ銀行のデジタルマーケティングへの取組み 2018. 12. 17 [日本銀行HP pdfファイル]

(Marvin編集部)