AIがスマートメーターを使って在宅を予測:不在配送を減らす「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」

東京大学大学院情報学環・越塚登研究室、同大学工学系研究科田中謙司研究室は、配送における不在配送を減らすための取り組み「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」(代表者:大杉慎平)において、開発した配送ルーティングエンジンによる配送試験を行い、98%の配送成功率を得ることに成功しました。

課題

宅配便の取扱個数
宅配便の再配達削減に向けて[国土交通省]より

近年、インターネット通販や個人での売買の増加により、宅配便の取扱個数は急増しています。国土交通省の調査によれば2017年度は約42.5億個で、ここ10年で3割以上増加しています。

一方で、そのうち約2割が再配達になっています。これは年間約9万人のドライバーの労働力に相当し、単純に考えても数千億円の無駄なコストとなっています。さらに、トラックドライバーの不足により運送大手が値上げしたり、今後の高齢化に伴うさらなる宅配の利用増の見込まれたりと、再配達の数は今後さらに大きな課題となっていくことが確実とという状況にあります。

解決方法

「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」では、各戸に設置されたスマートメーター(ネットに接続された電力計。遠隔から数値を読み取れる)から取得される電力データをAIが学習し、特定時刻における在宅予測をします。

Zero redelivery concept video[YouTube公式動画] 

上図のように電力を使っていれば在宅、電力があまり使われてなければ不在と判断し、配達ルートから除外するようにします。そして、その在宅予測をもとに在宅戸を優先的に配送するルートを自動生成します。

どうなったか

配送試験が行われ、AIが作成した不在先を回避するルートを使用したところ、配送成功率は98%に登り、人の判断で配送した結果と比較すると、現状発生している不在配送の9割以上が削減されることが実証されました。また、不在先を回避することで移動距離も5%短縮されました。

まとめ

スマートメーターを使って不在の家を予測するというAIの活用を紹介しました。

このシステムは実用にあたっては運輸業者が各戸のスマートメーターのデータを勝手に使うことはできないので、各戸から許可を得る必要があるはずです。再配達の最適化のために第3者にデータを提供する家がどれぐらいの割合でいるのかという点は課題となるかもしれません。

しかし、今回は配送に従来から使っていたデータだけでなく、電力データを使って物流を最適化するという新しい取り組みで、それが一定の成果をだしたというのはとても有意義な実験であると言えるでしょう。

他にも、物流の改善には色々な会社が取り組んでいます。Marvinでは以前オプティマインドという配送ルートをAIで最適化しようという会社を紹介しました。また、日本郵便は指定の場所に置いていくだけの「指定場所配達サービス」というのを来春から始めると発表していたり、米Amazonはドライバーに家の鍵を預からせて家の中に置いてしまおうという試みがされていたりします。

もはやインターネット通販は生活にあって当たり前のものになりつつあります。無駄が少なく適正な料金で利用できるよう、各個人も再配達が少なくなるよう意識しつつ、仕組みでの改善に期待したいと思います。

参考資料

(Marvin編集部)