AIがどの車両が、どの訪問先を、どの順に回るかを最適化:オプティマインドとブルボンの協業により菓子配送の移動時間を短縮
Marvin.newsで代表の松下健氏にインタビューした株式会社オプティマインドと、株式会社ブルボン(本社:新潟県柏崎市、代表取締役社長:吉田康)が、AIによる配送ルートの最適化の実証実験を2019年1月より開始することを発表しました。
課題
配送ルートの最適化は、車両が1台で決まった配送先を回ればいいだけであれば、市販のナビでも一定の精度で可能になりました。しかし、車両が何十台、何百台となり、配送に「何時〜何時の間に配送しなければならない」「この配送先には一定以上の積載量の車両が必要」「特定のドライバーは何時までに勤務を終えたい」といった条件が加えられる物流業務となると市販のナビでは対応できません。
そのため日々のルートを考えるのは高いスキルや経験が必要で、計画に時間がかかっていたり、ルートが悪いためにドライバーの労働時間が長くなる、配送コストが高くなるという問題があります。
ブルボンはスポーツ施設やオフィスビル、駅・空港などの交通機関に「プチモール」という食品も扱う自動販売機を管理しており、その配送ルートの最適化によって作業の効率化、業務の改善、人員不足への対応をしたいと考えていました。
解決方法

オプティマインドが開発した配送ルート最適化クラウドシステム「Loogia(ルージア)」が、プチモールから逐次収集する販売データを使って「どの車両が、どのプチモールを、どの順に回るのか」という配送ルートを提案します。
実走データをGPS等から取り込み学習させることで、より精度の高いルートの算出や、ベテランドライバーのノウハウの共有を可能とします。ドライバーの勘や経験への依存を減らし、新人のレベルを底上げすることで、ベテランと同等に効率よく配達ができるよう支援します。
どうなったか
実証実験はこれからですが、移動時間の短縮、作業環境の改善、ベテランのノウハウの共有化、移動ルート選択のハードル低減、労働時間の改善による生産性向上などが期待されています。
以前のオプティマインドへのインタビューによると、ルート作成時間が44分から6分に削減できたり、配送時間も1割以上削減できたりといった実績があるため、今回も大幅な改善の可能性があります。
まとめ
AIによる配送ルートの最適化の実証実験に関する事例を紹介しました。
配送ルートの最適化は「配送計画問題」と言われる問題で、古典的なアルゴリズムの問題で知られている「巡回セールス問題」をさらに複雑にしたものになります。
松下氏に聞いたところ、各社様々な制約があり、複数の出発点、Uターンの最小化、訪問先の駐車場所の・ドライバー・車両の指定など、少し考えただけでも気が遠くなりそうになりました。
オプティマインドのルージアシステムの面白いところは、各社のルート最適化に留まらず、各社が利用して得られたデータを、会社や業界を超えてルージア全体で共有知として利用し、さらに学習していくというビジョンにあります。
地図利用者のデータを集めてさらに便利にというのはすでにGoogleがGoogle mapで提供しており、渋滞情報や拠点間の移動時間の予測などはかなり高い精度になっています。
ルージアのような仕組みで配送がどんどん最適化されれば、利用会社にもメリットがありますし、渋滞の問題解消、排ガス問題の改善にもつながり、世の中全体が良くなる可能性を感じさせられます。
参考資料
- オプティマインド、株式会社ブルボンと実証実験開始!AI活用による自動販売機配送ルート最適化[PR TIMES]
- オプティマインド・松下健氏インタビュー(1/3)「技術が現実社会に実装されていない乖離性を埋めたい」──最適化技術を武器に挑戦する企業・業界を超えた「配送地図」の創造[Marvin]
- Googleマップで採用された「渋滞状況」機能とその仕組みについて[TechCrunch Japan]
(Marvin編集部)