AIが踏切の映像を監視して異常を検知。警告とともに映像を高速伝送

株式会社理経(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 猪坂 哲)は、映像解析ソリューションを提供する株式会社フューチャースタンダード(本社:東京都文京区、代表取締役:鳥海 哲史)と踏切の安全性向上を目的としたAIを用いた「踏切映像伝送システム」の実証実験への協力を発表しました。

課題

踏切事故は平成28年で229件(うち死者は103人)程度発生しています。保安設備等の整備などにより減少傾向にはあるものの、踏切内のエンストや脱輪、踏切遮断機動作中の歩行者の侵入といった事前に電車を止めることにより防げた事故も2割程度あります。
自動的に危険性を察知して、踏切に近づいている電車の運転手に報せたり、自動的にブレーキをかけることができれば、安全性はさらに高まります。

解決方法

株式会社理経が株式会社フューチャースタンダードと共同で「踏切映像伝送システム」の実証実験への協力を発表しました。
プレスリリースによると、踏切に設置されている監視カメラの映像から、踏切内の異常を検知し、付近を走行中の電車の運転士や運行管理者などに警告を送ります。また、その映像も2秒以内に伝送する予定です。
このシステムは、東急池上線雪が谷大塚1号踏切において実証実験を行います。
異常状態の検知にはAIを用いた映像解析プラットフォーム「SCORER(スコアラー)」を使用します。SCORERは画像認識のアルゴリズムを複数揃えてニーズに応じて使い分けるシステムで、ブロックを積み上げるような感覚でGUIによってプログラムを組み上げます。
使用可能なアルゴリズム一覧から推察すると、明示的に人物や自動車を検出してその位置に基づいて解析することで、電車が接近したり遮断機が降りている場合に人や自動車が踏切内で存在しているかどうか等が検知され、必要に応じて電車運転士への警告や画像の転送などの手続きを行うようです。

どうなったか

実験はこれからですが、これにより異常が早期に検知できることにより、線路内に人がいれば電車を止めるなどして、事故を減らすことが期待できます。

まとめ

映像の解析から事故を防ぐ取り組みを紹介しました。
異常検出の技術は以前から主に統計モデルに基づいた研究が行われており、例えば産業技術総合研究所では歩行者に関する異常検出(2005年)室内における異常検出(2007年)などの研究を行ってきました。このように、異常状態の検出は異常状態の少なさや異常状態の定義のしづらさの特性から統計的な手法に基づいた研究開発が行われることが多く、近年のオートエンコーダ(自己復号化器)による異常検出も同様の仕組みです。
しかし、今回の踏切の事例でSORERを用いることで人や自動車が検出できれば、明示的に電車の接近時の人の存在など不適切な状態を定義できるため、システムの設計が容易になると考えられます。以前の技術では時間がかかったり、精度の悪かった物体検出の性能が向上したため、新しい考え方で設計ができるようになると考えられます。人工知能の機能を整理して提供するツールは従来からの開発者にとって、システム開発を容易にし、人工知能システムが普及する手助けになります。
人工知能技術のモジュール化が進めば、より一層ニーズに焦点を合わせた技術開発が可能になるため、知的システムの普及が進むことになりそうです。

参考情報

人工知能(AI)を用いた「踏切映像伝送システム」の実証実験に協力~安心・安全なインフラ作りの追求に貢献~ [PRTIMES]
平成29年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況 [内閣府]
映像解析プラットフォーム SCORER [公式HP]
人および動作の認識方式で世界最高性能を達成-コンピュータビジョンによる無人監視・認識技術の実用化へ大きな前進- [産業技術総合研究所](2005年)
カメラ映像から異常動作をリアルタイムで自動検出するソフトを開発-監視カメラの自動化に向けて大きく前進-(2007年)