ディープラーニングによる製造ラインの検品自動化システムの開発支援を開始:Amazon SageMakerによるシステム開発の効率化・高速化

課題

多くの製造ラインでは、製品の品質を保つために画像処理技術等を用いた良品と不良品の判定システムが稼働しています。良品と不良品を識別する場合には、例えばカメラ画像からいくつかの画像特徴量を抽出し、その違いを処理することで識別が可能となります。しかし製造される製品が新しいものになるサイクルが早い場合には、それぞれの製品に応じた画像特徴量を取得する手法を一から作り直す必要があり多くの労力が発生してしまいます。またそのような現場では不良品例の数が少なく、精度よく識別するための特徴量を抽出することも非常に困難です。
このような課題に対し、Automagi株式会社(以下Automagi)はライオン株式会社(以下ライオン)に対してAIを活用した歯ブラシの検品自動化システムの開発・実用化支援を開始しました。

解決方法

今回開発される検品システムは、ディープラーニング技術の一種である自己符号化器(AutoEncoder)を利用することで画像からの特徴量抽出を自動化し、画像撮影時の変化にも強いシステムになる見込みです。また不良品のデータが著しく少ない状況においても、AutoEncoderを用いることで良品のデータのみから不良品の判定を行います。この手法の具体的な情報は公開されていませんが、我々が以前紹介した手法(こちら)のように、AutoEncoderを用いて良品データからその圧縮表現を獲得し、不良品データをAutoEncoderへ入力しそのデータを再構成した際の差分を比較することで不良品検出を行うと考えられます。
また今回の検品システム開発にはAmazon Web Services(AWS)が提供する、機械学習モデルを短期間で簡単に開発・デプロイできるプラットフォームであるAmazon SageMakerを採用します。Amazon SageMakerではJupyter Notebookと呼ばれるブラウザ上でのPython開発環境を利用して機械学習モデル(ここではAutoEncoderによる良品と不良品の識別モデル)の構築と学習が簡単に行えるようになっています。また一般的な機械学習アルゴリズム(例えば主成分分析k平均クラスタリング)も用意されているため、それらの組み合わせによっても所望のシステムを構築することが可能です。構築・学習が終了した機械学習モデルはAmazon SageMakerにおいてHTTPSエンドポイントを作製し、ホスティングすることが可能です。またホスティングしたモデルの推論結果をモニタリングし、新に獲得されたデータを利用して推論精度を改善することもできます。Amazon SageMakerの詳細やより具体的な利用例はこちらこちらをご覧ください。

どうなったか

検品システムのプロトタイプは2018年の10月から12月にかけて開発されており、2019年度中にライオンの製造ラインへ導入される予定です。

まとめ

ディープラーニングの手法を用いて、製造ラインにおける製品の検品自動化を可能にするシステム開発について紹介しました。このシステムの特徴はAutoEncoderを用いた良品データのみからの不良品認識手法とAmazon SageMakerを利用した高速・高効率なシステム開発にあります。近年ディープラーニングに代表されるような機械学習を利用した情報処理システムが多く開発されていますが、システム全てを社内(または関連会社)で開発するのではなく、AWSやMicrosoft AzureIBM Watosonなどのサービスを利用したシステム開発が盛んに行われるようになりました。より高速に、そして効率的な開発を進めるために様々なサービスを検証していくことが重要になります。これさのサービスに関しては過去の記事をご参照ください(例えばこちらこちら)。

参考資料

(堀井隆斗)