エクサウィザーズと日本気象協会が人工知能の共同開発を開始:気象と関連する社会課題解決を目指す

課題

気象とビジネスには密接な関係があることが知られています。

日常生活でも雨の予報なら傘の準備をしたり、洗濯物を外に干さない判断をしたりと活用されていますが、マーケティングとしても天気予報は活用され、気温予測や降水確率に応じて陳列する商品を変更するなどの対応が行われてきました。

気温や降水などと商品売上などとの簡単な相関を元に需要を予測することはこれまで多く行われてきましたが、豊富で詳細なデータに基づく気象予測シミュレーションの複雑さに比較して、社会問題への活用は進んでいないのが現状です。

解決方法

これまで、気象庁は19世紀からの気象データを一日単位、地域単位で蓄積して、気象予報などに役立ててきました。

最高気温、最低気温などについて、地域単位のデータが気象庁のサイトから誰でもダウンロードすることができますが、より詳細なデータが気象庁や気象協会には蓄積されています。このようなデータを活用すれば、時間単位での商品の需要予測などが行えると考えられます。

どうなったか

一般財団法人日本気象協会とエクサウィザーズは気象データに機械学習などの人工知能技術を適用して、社会的課題を解決するための共同開発を開始しました。

エクサウィザーズは人工知能を専門としたベンチャー企業で、機械学習を専門とする複数の大学研究者が顧問を務めるなど研究開発に力を入れている企業です。

気象協会は人工知能の専門家を多く抱える企業との協業でデータの活用を進める方針です。

当面の課題は様々な業種の商品の需要予測としていますが、ヘルスケア分野への拡大も目指しているということです。

まとめ

気象とマーケティングは古くから関連の深いものでしたが、近年の機械学習技術の進歩は、より正確な需要予測や社会課題の予測に貢献すると考えられます。

具体的な手法などは明らかとなっていませんが、各地点での気象情報を全て使って予測やモデル化ができれば、例えば交通渋滞や交通事故確率の予測など様々な目的で活用できることが期待されます。

近年は複雑でメカニズムが不明な自然現象であっても、機械学習の活用により精度の良い予測ができることが明らかになっています(例えば地震の余震確率予測)。また、Marvinで紹介したようにPM2.5のデータをあらかじめ知ることによりエアコンの空気清浄機機能を調整する製品が発売されています(Marvin記事)が、気象情報と家電製品の制御が結びつくことはあまりなかったと言えるでしょう。このような製品を含めて、これまで考えられなかった活用方法がこの共同開発から提案されることが期待されます。

 

参考資料

気候リスク管理技術に関する調査(スーパーマーケット及びコンビニエンスストア分野):販売促進策に2週間先までの気温予測を活用する [国土交通省気象庁]
エクサウィザーズと日本気象協会、気象リスクに起因する社会課題の解決を目指し、AIを使った気象ソリューションサービスの共同開発を開始 [気象協会]

一般財団法人日本気象協会 公式HP
エクサウィザーズ 公式HP
余震の発生確率を深層学習で予測(Nature誌掲載論文):単純なニューラルネットワークと詳細な地震データベースの連携で従来の理論を凌駕 [Marvin.news]
天気予報で部屋の快適性を先読み制御:パナソニックが気象データに基づいて予測的に制御するエアコンを発売 [Marvin.news]

(森裕紀)