パイオニアとMooVita、3D-LiDAR技術を用いた自動運転バスの実証実験を開始

課題

昨今では様々な企業が自動運転技術の研究開発を行っていますが、技術的課題はまだ多く、実用化には時間がかかると考えられています。特に難しい技術的課題は、未知の道路や状況に対応できる汎化能力をいかに獲得するかという点でしょう。

走るコースが決まっていて未知の道路を走る能力がさほど求められないバスは、普通車の自動運転よりもタスクが易しいと考えられますが、実際の道路の走行はやはり複雑で、実用化にはまだ課題が多いのが現状です。

 

解決方法

パイオニア株式会社は、シンガポールのスタートアップ企業MooVita Pte Ltdと共同で、パイオニア製の「3D-LiDARセンサー」を搭載した自動運転シャトルバスの実証実験を開始したことを発表しました。この実験は、シンガポールの高等教育機関「Ngee Ann Polytechnic (ニーアンポリテクニック)」構内において行われます。

LiDARはレーザー光の反射によって周囲の物体の距離や方向といった位置情報を測定する機器です。3D-LiDARは、従来の2D-LiDARでは検知できなかった奥行や高さといった情報まで測定でき、周囲の状況をより立体的に把握できます。自動運転においては、周辺の環境の認識、自車位置の推定および周囲の3Dマップ生成といったことに用いられます。

 

どうなったか

パイオニアが3D-LiDARの知見や技術を提供し、MooVitaが自動運転ソリューションを開発するという形で、2社が共同で自動運転レベル4(高度自動運転化:限定領域内においてシステムが全ての運転タスクを実施)のサービス実用化を目指すと発表しています。この実証実験も、その重要なステップとなるでしょう。

MooVitaの自動運転研究について、過去の実験の様子がYoutubeにアップロードされています。詳細なアルゴリズムは言及されていませんが、カメラ映像からの障害物検知と、GPSや地図情報を用いた自社位置推定とを組み合わせ、走行ルートを決定していると考えられます。運転操作は、この走行ルートを追従するように生成されていると考えられますが、ハンドル操作がまだ不安定であろうということが動画から見て取れます。

パイオニアは、2020年以降の量産化を目指して小型軽量・低コスト・高性能なMEMSミラー方式の3D-LiDARの開発を進めているとして、2018年9月下旬からは計測距離と画角が異なる3D-LiDAR センサー( 3 種 4 モデル)の提供を開始しています。従来のLiDARは広範囲にレーザーを照射するためにモーターを用いていましたが、MEMSミラー方式ではこの駆動用モーターが不要なため、大幅に小型軽量化できるとのことです。また、これらの3D-LiDARを活用した高精度の物体認識アルゴリズムおよび自車位置推定アルゴリズムの開発を進めていくとしています。

 

まとめ

自動運転車に先立って、すでに自動運転バスの実証実験を行っている企業は他にもあります。例えば、ソフトバンクの関連会社SBドライブは、羽田空港新整備場や沖縄県石垣島、慶應義塾大学キャンパス内、江ノ島など、様々な場所でバス自動運転の実証実験を行っています。カメラやLiDARのみならず、信号機との通信による協調、GPSや道路上の磁気マーカーからの自己位置推定といった様々なシステムを用いていますが、それでもまだ十分な自動運転能力とは言えないようです。(参照)

高性能なLiDARセンサーは自動運転技術の向上に役立ちますが、サイズが大きい上に非常に高価であるため、現段階でこれを搭載した車両を量産するのは難しいと考えられています。この問題の解決策としては、①LiDARセンサーの改良、②LiDARセンサーに頼らない自動運転システムの設計、の2つが考えられます。パイオニアは、LiDARの改良によって自動運転車に搭載可能な3D-LiDARセンサーの量産化を目指すとしています。一方、②の手法としては、カメラ映像のみの情報から自動運転を行う研究()などが行われています。

 

参考資料