子育ての疑問は人工知能に聞いてみよう:熊本県が子育て安心AI事業で取り組むチャットボットによる相談支援プログラム

課題

子育てやゴミ出しに関する疑問など、日常生活においてちょっとした情報を得たいという要望は多くあります。しかしそのような疑問を抱えている人の多くは「どこに質問すればよいのか分からない」「電話や対面で質問しようにも対応時間が終了してしまっている」など、質問をすることそのものが難しいという問題がありました。一方質問を受け付ける行政機関においても、労働力減少などの問題から専門の担当者を設置することや時間を問わずに対応することは困難です。
このような問題に対し熊本県庁は子育て安心AI事業において、育児における疑問や質問に応答するためのチャットボットシステムとして株式会社ALBERT(以下ALBERT)の「Proactive AI」を用いた実証実験を2018年8月より開始しました。

解決方法

核家族化や共働き家庭の増加により育児に関する疑問を相談する機会が減少しているという問題を解決するために、チャットボットのProactive AIを用いた自動応答システムを構築します。熊本県では市町村や子育て支援NPO団体が協力することにより育児に関する質問応答(FAQ)の作成に取り組みます。Proactive AIはそのようなFAQを学習するとともに、実際のユーザーからの問い合わせに対して「問題は解決できましたか?」というアンケートを実施し、その回答から自動学習をすることが可能です。また質問や回答の信頼度に応じて直接的な回答とユーザーに確認を促す回答を切り替えることや、ユーザーの意図を推定し複数の質問選択肢を提示することも可能です(具体的な機能に関してはこちら)。

詳細なメカニズムは明らかにはなっていませんが、自然言語処理技術研究の成果の活用を進めているようです。

どうなったか

子育て安心AI事業で想定するProactive AIを用いた質疑応答例としては、質問者が「パパ友・ママ友を探したい」と質問した際には、チャットボットが「育児中のパパが集うイベントをお知らせします…」という内容が挙げられています。実証実験は2018年8月より始まったばかりでありまだ具体的な成果は報告されていませんが、同様の事業として東京都渋谷区が子育て支援チャットボットとしてProactive AIを導入しており、一定の効果が得られているようです(こちら)。

まとめ

熊本県庁の子育て安心AI事業における実装実験とそこで利用されている人工知能チャットボットProactive AIを紹介しました。時間帯にとらわれない対応が必要ながらも労働力が不足している現代において、チャットボットを利用することで対応可能な質問応答を処理するサービスは今後増加すると考えられます。またProactive AIのように質問応答を繰り返すことによって自動学習することのできるシステムは長期間運用するほどにその効果を発揮します。
チャットボットを利用した質問応答システムに関しては以前の記事(例えばこちらこちら)でも紹介していますので是非ご覧ください。

参考資料

(堀井隆斗)