AI×AR図鑑:カメラをかざすだけで瞬時に生き物を識別できるアプリ「LINNÉ LENS」

 

課題

人工知能技術を用いた画像認識によって、生物や植物の品種を識別するアプリが開発されています。本サイトでも過去に一部を紹介しました(釣り初心者必携!:画像から魚の種類を見分ける深層学習によるスマホアプリ

しかし既存のアプリには、識別精度や識別可能な品種数が限られたものであること、また、写真を撮って送信し数秒待たなければ結果が得られないという手間があることなど、課題がありました。

解決方法

Linne株式会社が、スマートフォンのカメラをかざすだけで生き物の名前を識別できるアプリ「LINNÉ LENS(リンネレンズ)」のリリースを発表しました。

Linne株式会社は、人工知能プログラムの研究開発およびAR(Augmented Reality:拡張現実)システムの企画・開発・運営を行っており、「かざすAI図鑑」をコンセプトに最先端のAI技術と独自のユーザーエクスペリエンス設計を組み合わせてこのアプリを開発したということです。

どうなったか

ユーザーはスマートフォンをかざすだけで瞬時に生き物の名前が得られ、解説を見ることができます。また撮影した写真は記録されて、オリジナルの図鑑を作ることができます。

日本の水族館にいる生き物の9割(約4,000種)に対応しており、魚類を中心に哺乳類から刺胞動物まで幅広く認識できるということです。学習済みの水族館の生き物に対する認識成功時の平均精度は90%前後と発表されています。一度見つけた生き物はアプリ内の系統樹に記録され、生物の知識を得ることもできます。また、山奥や水中など電波の届かないところでも使用することができるアプリとなっています。

まとめ

このアプリは、人工知能技術による高い認識精度と豊富な識別可能品種数を有するとともに、かざすだけで瞬時に識別できるという点でARを志向したアプリとなっています。世界のモバイルAR市場は2021年までに600億ドル以上に到達すると予測されており(The mobile AR platform war [Digi Capital])、人工知能技術とAR技術を組み合わせることが一つの強みとなることが予想されます。

また、このアプリを開発したLinne株式会社は「AIとARで人類の生態系に対する理解を深め、自然環境の持続可能性を高める」という目標を掲げています。
今世紀の終わりまでに地球全体の生物種の3分の1が姿を消す恐れがあると言われるほど、地球の生物多様性は現在急速に失われています。独自に開発したAI/ARシステムを核に、人々が生物多様性に関する理解を深められるアプリケーションを開発し、同時に専門家や研究者による生態系の把握・保全に寄与するとLinne株式会社は標榜しています。社会問題の解決手段として期待される人工知能技術ですが、人工知能技術を用いたビジネスにおいてもこのような社会問題への視座が大切であると言えるでしょう。

参考資料

LINNÉ LENS
かざすだけで瞬時に約4,000種の生き物の名前がわかる!かざすAI図鑑アプリ「LINNÉ LENS(リンネレンズ)」[PR TIMES]
The mobile AR platform war [Digi Capital]

(太田博己)