データを活用して歯科医院の予約キャンセル率を低減:患者のキャンセル率を統計モデルにより予測して対応提案

課題

歯科医院では患者の予約が経営上無視できない率でキャンセルされる。他の患者が入れられるはずだった機会損失は年間1000万円に上ることもあり、最適な予約時期を推定しつつキャンセル率を下げることは経営上重要です。また、定期的なメンテナンスを推奨していても、通院の間隔が数ヶ月となるため患者が中断してしまうこともよくあるため、歯科医院では定期的にハガキを出すなどの対策を行なっていましたが、事務が煩雑になるなど効率的な運用が必要です。

解決方法

患者が予約したときの情報を数多く収集することで、「キャンセルをしやすい人」の傾向を知ることができるはずです。具体的には、自宅と医院の距離が遠い人は面倒に感じて定期的なメンテナンスの予約をしなくなったり、当日の天気が悪いと予約キャンセルが増えるので予報に合わせたリマインダを送りたいと思うでしょう。各患者毎にキャンセル率の予測ができれば、きめ細かい対応によりキャンセル率やリピート率を向上させることができます。

どうなったか

株式会社医療予約技術研究所では、歯科医院で収集されたデータに基づいて予約のキャンセル率を予測するシステムDentryを提供しています。「天気」「自宅と医院までの距離」「予約時間帯」などの特徴から新規の患者に対してもキャンセル率を予想して、キャンセル率が高い場合に対応を促すことができます。また、この予測に基づいて対応することで18%の予約キャンセル率を3%に低減させた医院の対応を模倣することで、患者の予測キャンセル率や状況に応じた対応を提案することもできます。

まとめ

統計モデルを導入する前のDentryのユーザの声を参照すると電子予約システムによる業務管理の効果が大きく、統計モデルによる解析は最新の追加機能の一部であることがわかります。一般的に統計的機械学習などの人工知能技術の導入する前には適切なデータを漏れなく収集・管理するためのエコシステムが必要で、Dentryではこれに成功したといえるでしょう。おそらく、予測モデルに使用している統計モデルは基本的なモデルと考えられますが、どのような機能を提供するのかを絞り込むことで価値の高いシステムを作ることができる好例ではないでしょうか。

さらに、この製品を活用して医療法人RDCと共同でSoftbank RoboticsのロボットPepperを利用した歯科医院受付システムの開発も進めています。電子カルテをはじめとして情報技術を取り入れた医療機関の効率化とサービス向上はこの10年のトレンドでしたが、今後は人工知能技術を含めた技術導入によりさらなる発展が期待されます。

参考資料

電子カルテとは|導入するメリット・デメリット[セコム医療システム]

(森裕紀)