AIによるがん診断がますます高精度に:ディープラーニングを利用した超音波画像の自動診断支援技術

課題

人工知能技術の医療への応用が活発になっています。がんに関しては、ディープラーニングを利用したMRIやCTスキャンからの画像の自動診断が活発に研究されています。

一方で乳がんの診断においては、専用のレントゲン検査であるマンモグラフィの画像による診断が代表的な手法です。しかし、発展途上国ではコスト等の関係でマンモグラフィ撮影装置が普及していないという課題があります。

 

解決方法

Mayo Clinic Collegeのクマール氏らはディープラーニングを利用して超音波画像による乳がんの診断支援をする技術を開発しました。

ディープラーニングの一種である畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の学習モデルを構築し、 258人の患者から得た433の超音波画像によるデータセットを用いて学習を行います。

当初クマール氏はディープラーニングに関する知識をほとんど持っていなかったものの、6 か月以上にわたる独学によって、モデルの構築と操作についての知識を習得し研究を進めたということです。

どうなったか

開発されたアルゴリズムによって、従来より高精度な乳がんの超音波画像診断が可能になりました。

超音波装置であれば低コストで導入することができるため、発展途上国における乳がんの早期診断への活用が期待されます。また超音波診断は発展途上国に限らず、妊婦や妊娠を予定している女性のほか、マンモグラフィの X 線検査を受けられない患者を診断するうえで重要な役割を果たすことが期待できる、とクマール氏は説明しています。

まとめ

今回は、ディープラーニングを利用した乳がんのための超音波画像診断技術の研究開発を紹介しましたが、この他にも多くの研究が進められています。

例えば、理化学研究所と国立がん研究センターは内視鏡画像から早期胃がんを発見する技術を発表しました。内視鏡で撮影した100枚の早期胃がん画像と100枚の正常な胃の画像を学習用データとして用意し、これを基に36万枚に拡張させたデータを学習に用いており、がんを80%の精度で認識できると発表しています。

また、ハイデルベルク大学のHaenssle教授らは、CNNを利用して10万枚以上の皮膚がんやほくろなどの画像を学ばせ、診断対象が良性か悪性かを識別する技術を開発しました。悪性の皮膚がんか良性のほくろかを判定する試験で、皮膚科医の精度が86.6%に留まったのに対し、開発されたシステムは95%を達成したと発表しています。

内視鏡医療にAIを活用するベンチャー企業が創業されるといった例もあります。今後も医療へのAI技術応用がますます加速していくことが予想されます。

 

参考資料

AI とディープラーニングが超音波によるがん診断を可能に [NVIDIA]
Automated and real-time segmentation of suspicious breast masses using convolutional neural network [US National Library of Medicine]
AIで早期胃がん領域の高精度検出に成功 [理化学研究所]
Man against machine: diagnostic performance of a deep learning convolutional neural network for dermoscopic melanoma recognition in comparison to 58 dermatologists [Annals of Oncology | Oxford Academic]
近未来の内視鏡医療を実現する医療ベンチャー [AIメディカルサービス]
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)[Math Works]

(太田博己)