釣り初心者必携!:画像から魚の種類を見分ける深層学習によるスマホアプリ
課題
近年、深層学習(ディープラーニング)による物体認識が急速な発展を遂げています。人工知能技術の一手法である深層学習は、一般画像認識において極めて高い精度を誇り、時には人間の認識精度を超えることもあります。深層学習による画像認識についての研究は数多く行われていますが、それらの成果を一般に向けて応用したサービスの提供は、まだまだ開拓の余地が大きくあります。
解決方法
深層学習を活用して写真に写った魚の種類を判別するスマートフォンアプリ「フィッシュ」を、釣り船予約サイトなどを運営するB.Creationが公開しました。日本初の深層学習を活用した魚類判定アプリであるとして発表されています。
このアプリの開発にあたっては、釣り船予約サイトを通じて釣り人から集めた約300万点の魚画像に対して、それぞれの魚種を人力でタグ付けし、深層学習のためのデータセットを構築しています。また、ひとつの魚種に対し、明るさや角度、対象物以外の写り込みといった条件の異なるさまざまな画像を学習させることで、判定の精度を高めたとしています。
どうなったか
このアプリでは、深層学習用を いた画像認識により現在80種の魚種を判定することができます。このアプリはベテランの釣り人だけでなく子供や女性など幅広い層をターゲットにしているということで、判定結果のページでは魚の名称や科目、特徴が表示され、調理法や毒の有無などの詳細な情報も知ることができます。今後は判別できる魚種の数を増やすとともに、判定の精度を高めるとしています。
まとめ
深層学習による高精度の画像認識と図鑑からの情報を組み合わせ、一般に向けた便利な機能を提供する魚類判定アプリを紹介しました。
深層学習による画像認識の応用例は他にも、植物の写真を撮るだけで名前や詳細を教えてくれるアプリ「PlantSnap」があります。このアプリでは、深層学習を用いた植物の画像認識で、高い精度で数秒以内という早さでその種類を判定できるということです。
また、京都大学の伊勢武史准教授らは、深層学習によるコケの判定を行う技術を研究しています。不定形で特徴の捉えにくいコケは、深層学習を用いても認識の難しい対象ですが、教授らは独自の手法を開発しコケの認識精度を高めることに成功しており、この成果を応用したコケを識別するスマートフォンアプリの開発を計画しているということです。
このように、深層学習による高精度な画像認識は、身近に存在する様々な対象や場面への応用が可能です。独自のデータや技術と、一般へ向けたサービスのアイデアを組み合わせることで、新たな価値の創出が期待されます。