市場分析にはAIを:電力小売り業でのAI活用が始まる

課題

2016年4月に電力小売の全面自由化が開始されて以降、新電力市場は年々拡大を続けています。そこで、電力需要予測をはじめとする市場分析が重要な課題となっています。規模が拡大し複雑に変動する市場においては、その分析手法を高度化していくことが特に求められます。

解決方法

国内の電力小売り業において、総合商社の丸紅が、AIを活用した高度な市場分析モデルの導入を開始しました。このモデルの構築には日立製作所の協力を得ており、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」を活用したものとなっています。Lumadaは、様々な設備や機器から生まれた多様なデータを統合し新たな価値を抽出するための基盤として、日立が提供しています。

この市場分析モデルは、丸紅の子会社である丸紅新電力によって、取引価格や電力需要の予測などに使われています。AIを活用した分析を通して業務の効率化やコストの削減をすることで、電力事業分野での競争力強化へ向けた取り組みとなっています。

どうなったか

AIを活用した市場分析によって、これまで人手に頼っていた統計的な解析の自動化が実現されました。この分析モデルは、気温や天候などの情報を基に電力需要を予測することや、取引価格の推移などから最適な価格を導き出すことが可能となっています。丸紅は、これまでの統計的な手法と比べて、実測値に対する予測値の誤差率を平均で50%、最大で80%減らすことができたと発表しています。

まとめ

AIを活用した市場分析をすることで、需要や取引価格の予測を効率的に行い、業務改善、コスト削減に対して効果をあげることができるという電力小売業での事例です。

この取り組みは、二社の強み、すなわち丸紅の実績・ノウハウに基づくアルゴリズムを活用したデータ解析手法と、日立の小売り・流通分野などの需要予測向けに開発した機械学習エンジンとを掛け合わせて、独自の市場分析手法を構築したものとなっています。このように、独自の視点やノウハウおよびデータをAI技術と掛け合わせることで、新たな価値を生み出すことが可能となります。

参考資料

(太田博己)