農業で人間と人工知能の対決!?ディープラーニングを用いたキュウリ選果機は人間に勝てるのか?

解決しようとする課題

元IT技術者の小池誠さんは実家をついでキュウリ農家へ転職したものの、キュウリの等級判別に時間を取られていることに気がつきました。そのため、前職(情報技術者)での技術を生かして、キュウリの形状に合わせた等級を自動判別する装置の開発に取り掛かりました。

解決方法

まず、ディープラーニングの一種である畳み込みニューラルネットワーク(コンボリューショナル・ニューラルネット:CNN)を用いて、熟練者による分類結果に基づいてキュウリ画像を9等級(2L, L, M, S, 2S, BL, BM, BS, C)に分類するための学習データを作成しました。また、キュウリの撮影システムは家庭でも購入可能な機材や安価な計算機(RasberyPi)のみを用いて開発し、訓練データの収集や実際の判別試験に使用しました。
得られた訓練データに基づいて、CNNに画像と等級の対応を学習させ、キュウリ選果機の試作機を開発しました。

どうなったか

3つのキュウリ選果機の試作機を開発し、概ね期待通りの成果を達成しました。試作機を試した農業従事者からも「試作2号機と比べたらまだ使えそう」とか「複数をまとめて判断できるのがすごい」といった感想でした。しかし、本格的な評価はこれからで作業者が使いやすいシステムに改善する予定である。今後は、キュウリ画像の撮影方法や背景からのキュウリの切り出しなどを工夫して、分類精度の向上や複数キュウリへの対応などを検討とのことです。

まとめ

現場の業務知識や経験が重要であることがよくわかります。ベルトコンベアではキュウリを傷つけるという指摘は経験の無い技術者では思いつきません。2017年時点のバージョンでは、すでに撮影方法を工夫して背景がほとんど変わらなくなっていますが、念には念をいれて、キュウリと背景の分離を行なっています。実際の業務へ導入したところ、当初の小池さんの作業速度に比べて1.4倍の作業速度になったものの、最終的には小池さんの認識速度が上回ったため、現在は使われていないというのは興味深いところです。自動認識技術もトータルな作業効率向上の一環として取り入れて、従来の方法との優位性を示せなければ導入は難しいということなのでしょう。損益分岐点がどこにあるのか、見極めが重要になりそうです。
また、同じ発想で異なる応用もできそうです。例えば、トマトの選別など他の野菜への応用や家畜の育ち具合を判別するシステムなどは、あまり機械学習システムの構成には手を加えずに画像の取得環境などの工夫で可能になりそうです。

参考情報

ディープラーニングでキュウリを選別する人工知能搭載仕分け機が開発中[Gigazine]

ディープラーニングを用いたキュウリ選果機の開発(第7期(2016年度)AITC成果発表会)[PDF資料

ディープラーニング×きゅうり」の可能性に、たったひとりで取り組むエンジニア[GeekOut]

元組み込みエンジニアの農家が挑む「きゅうり選別AI」 試作機3台、2年間の軌跡[ITメディア エンタープライズ]

きゅうり農家が深層学習に挑戦-自作の仕分け機を作るまでの道筋[マイナビニュース]

(森裕紀)