不良品の自動発見!コストのかかる異常検知が人工知能で楽々解決!?

課題

製造業において、異常製品を発見し、除去することは最も重要な作業の1つであり、高い人件費を強いられています。そうした背景から、機械学習を用いた自動異常検知システムの研究開発が行われてきました。中でも、製品の画像データのみ(正常・異常をラベル付けする必要すらない)から異常を自動で学習(教師なし学習)することができれば、人間への負担や手間が少なく、簡単に導入することが可能になります。

教師なし学習を利用した異常検知システムとして生成モデルを利用した研究が行われてきましたが、製品の構造由来の複雑性から、画像に出現する局所部位の頻度に差が生じ、異常の検知ではなく単に出現頻度の低い個所を検出してしまう問題が報告されていました。

解決方法

2018年6月5日に第32回人工知能学会全国大会で発表された「深層生成モデルによる非正規化異常度を用いた工業製品の異常検知」では、深層生成モデルであるVAE (Variational Auto Encoder,変分自己符号化器)を利用し、正常な製品と異常な製品が混在した画像データ群から学習を行う自動異常検知システムを目指しています。従来の学習方式であるELBO(Evidence Lower Bound, 証拠下界)を利用すると先述の出現頻度問題と衝突してしまうために、ELBOから正規化項を除いた非正規化異常度のみを利用する手法を提案しています。これにより出現頻度に依存しない学習を実現し、異常のみを検知できる可能性があります。

どうなったか

実際にネジ穴の画像データセットを利用して、従来の手法と提案手法の結果を比較したところ、従来の手法は出現頻度の影響を受けてしまい、正確な異常検知ができていなかった(出現頻度の低い箇所を異常であると判定していた)のに対し、提案手法は部品の異常箇所のみを検知することができました。この結果は事実上、画像データのみを利用した自動異常検知システムの開発にある程度の精度で成功したことを意味します。

まとめ

今回紹介した「深層生成モデルによる非正規化異常度を用いた工業製品の異常検知」では、深層生成モデルVAEによる異常検知において、非正規化異常度を使用する手法が提案されました。この手法を利用することで、複雑な構造を持つ工業製品の画像に対して、従来の手法よりも高い異常検知性能が実現されました。この結果は、工業製品のみならず、様々な商品の品質による分別作業の自動化に利用できる可能性があります。また、VAEを拡張したCVAEを利用する事で、野菜の仕分けをはじめ、複数クラスへの仕分けを行う事が可能になると考えられます。

参考資料

論文タイトル : 深層生成モデルによる非正規化異常度を用いた工業製品の異常検知

発表学会 : 人工知能学会全国大会(第32回),  2018年6月5日(火) 〜6月8日(金)

発表者 : 立花亮介\*1、松原崇 \*1、上原邦昭\*1     *1神戸大学 大学院 システム情報学研究科

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(H.S)